マイクロノベルちょいす 043「来るな触るな近寄るな」
No.1172
むかーし、流行ったんだよ。空に向かって宇宙人を呼ぶんだ。ベントラー、ベントラーって。まさか来ていたとはね。「ずっと不在だったので困っていました」そりゃまあ、段ボール箱に『着払い』って書いてあったら誰も受け取らないよ。今回も受け取り拒否で。
No.1186
あいつらって睡眠時間が短くない? ショートスリーパーってやつなのかな。でもまあ、あいつらはトロトロしてるからな。セカセカ動いて、やっと釣り合ってるんだろう。「あー、ねこちゃんだー。あっ」フンッ、そんなトロい手で俺様のしっぽに触れるかよ。
No.1193
そいつ、さっき見たよ。おばあさんの荷物を持ってあげてた。そう、あんたと同じで、えらい親切な奴で。そうそう、やっぱりあんたと同じで、背中に羽根をつけてたよ。どうもありがとうね。「……天使め、この悪魔が住む街でなにを始めたんだ?」
No.1201
人間どもは自分の街に悪意の塊を捨てる。それを回収するのが悪魔の仕事なのに、天使に横取りされてしまった! 「さっきあんたのお仲間がゴミ拾いをやってくれたよ。その羽根、格好いいねえ」しかも勘違いされて悪魔の評判が爆上がり! 絶対に許さないぞ!!
No.1206
違うんだよ、お嬢ちゃんを助けたのは天使なんだ。「知ってるよ。悪魔おじちゃんはいつも横断歩道を守ってくれてるからね」そうだよ。よそ者のトラックに魂を横取りされたくないからね。「きっと天使さんはおじちゃんに憧れてるんだね」……それは想定外。