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マイクロノベルちょいす 026「選択肢はある?」
No.1058
君は箱を二つ持っている。一つには一年前のバックアップデータが、もう一つにはカフェインたっぷりの清涼飲料水が入っている。どちらを使うかの選択権は君にはなく、君の目の前にいる人物が決める。
No.1109
ブリキの兵隊が歩いてる? あれは歩いているように見せかけているのさ。足の裏にローラーがついていてね、それっぽく足を前後させているんだ。あんなのは偽物さ。騙されるな。二本足で歩く俺たちの方が高等だ。戦え。どちらかがこの地上から消え失せるまで。
No.1114
「私とあいつのどっちが大事なの!?」退っ引きならない事態の経緯はこうだ。生まれた時から使っていた声が、喉仏の失踪によって帰ってきた。しかし「やっぱり君のことが心配だから」と戻ってきた喉仏と鉢合わせしてしまった。いま、修羅場が始まる。
No.1123
引っ越しそばなんて風習はもう古いかな。だからタオルにした。どんなご家庭でも使うものだし。ところが、毎晩毎晩ベランダで雑巾を絞る音がして、濡れた跡が残っている。「お返しです」ヒシャクで舟を沈められる昔話があったな。そばにしなくてよかった。
No.1159
「どうも」初対面の印象では感じのいい奴だ。俺のコピーだってことを除けば。「意外と肉の好みがかぶらないな」一人で焼肉をパクパク食べてるこいつもコピー。「コピーじゃない人はいないの?」めちゃくちゃ好みの店員がいるけど、もしかしたら彼女もコピー?