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マイクロノベル集「なかみ」
マイクロノベルNo.2049
「謎は解けた。犯人はこの中にいる」「でも先生、ここは密室です」「助手君、唾液を吸い込んでくれたまえ」コナン・ドリル歯科。名前から嫌な予感がしていたんだ。「ああっ、こんなところに真っ黒な虫歯が!」「ドリルの出番だ!」ちくしょう、逃げられない!
マイクロノベルNo.2050
ぼくは見てしまったんだ。お父さんとお母さんが門松を仕舞っているのを。「あの子はまだ気づいていないな」「私も子供の頃、時間はあっという間に過ぎるな、って思ってた」すると門松の中からクリスマスツリーが出てきて、ふたりはキスをしたんだ。ずるい!
マイクロノベルNo.2051
加湿器が白い蒸気を吐いている。スゥ、ハー。まるで呼吸しているみたい。なにが入っているんだろう。「知りたければ中を覗けばいい」でも、お母さんは触っちゃだめだって。「噛みはしないよ」フタを開けると、加湿器は転がって、窓のサッシを水でぬらした。