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マイクロノベル集「誰がその仕事をこなすのか」

マイクロノベルNo.2061
契約は不履行だ。貴様に与えた熱を返してもらうぞ。「ゆ、許してくれ。今度こそ傑作を――」やれやれ。人間に熱を与えてもロクなことをしない。かつては世界を滅ぼしかけた技術者もいたのだが。「ああ、俺のお茶が冷めていく……」湯飲みは自分で作りなさい。


マイクロノベルNo.2062
「異世界の者よ。そなたの技術を見込んで頼みがある」魔王にそこまで言われちゃ応えないわけにはいかないが、清掃員の俺がなにをすりゃあいいんだ? 「ダンジョンのトイレを中心に清掃してくれ」巣くうモンスターの数、約一万。こいつはヤベェ仕事だぜ……!


マイクロノベルNo.2063
火を二つ重ねて、炎とする。彼の言葉とともに、あたしが憎んだ学舎は焼失した。彼が述べた契約の言葉を今も覚えている。「魅せられては、ならない」目を瞑ると、彼の相貌がまぶたの裏側によみがえる。彼の眼は縦に重なっていた。いまもその瞳を捜している。



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