「バラ」の現在〜木村卓功さんのロサオリエンティス〜
今、木村卓功(きむらたくのり)さんのバラが熱い。
木村さんは日本を代表するローズクリエーターの一人。
近年、海外のコンテストでも受賞するなど目覚ましい活躍で、日本の気候に合った品種を作出するなど、東洋のバラ「ロサ・オリエンティス」をブランドとして立ち上げる。
火沢も数年前、バラを栽培するようになってから大ファンになり、我が家の玄関先は…
バラが、ここ近年、特に変化したことは耐病性の向上だ。
海外における環境保護の観点から無農薬栽培の機運が高まり木村さんも、その流れを受けて耐病性の強い品種を作出してこられた。
自分もリアルタイムで、その流れを追って来たが本当に「ここ10年から5年くらいで一気に」という感じで育種家の努力と意識の高さを感じる。
もう、自分は病気に関しては完全に無農薬で栽培している。
虫だけはどうにもならないけど(苦笑)。
「バラは難しい」という意識もだいぶ変わってきているかもしれない。
が…
そうは言っても昨今の異常気象。
なかなか栽培もうまくいかないこともある。
失敗談も交えて、我が家のバラを紹介させて頂きます(笑)。
まずは真ん中の「トロイメライ」から。
本来なら黄色やアプリコットが交じる複雑な花色の品種なのだが(苦笑)。
極端な気温差や多肥、日照不足でも花色が薄くなる。
今年は春先から梅雨みたいに雨も多いし…
それに去年は今年の正月まで咲かせてしまったので休眠が足らず、本来の花色にならなかった可能性もある。
そういうわけなのか…
トロイメライは多肥で花色がぼやけると「趣味の園芸」に書いてあったので今年は肥料を油粕に変えて控えめに与えたのに…
しかし翌日…
よかった〜!
やっぱ、気温か?
よくわからないが、すこしホッとした(苦笑)。
難し〜!
黄色味が出てきた!
凄まじいグラデーション!
なんで〜!(苦笑)。
雨が多いからかな〜
どうなんでしょう…
難しいな〜
でも…
綺麗な写真が撮れたので本当に良かった。
品種名はシューマンの曲から引用したと木村さんが言っていた。
耐病性、香り、花色と三拍子揃った夢のようなバラ。
それでトロイメライらしい。
まだまだ色は濃くなるはずなので今後は肥料をさらに控えてみたり試行錯誤していこうと思う。
とりあえず…
通行人にも褒められたのでホッとしている。
園芸をやるようになってから、よく声をかけられる。
遊歩道沿いに住んでいるので逃げ場はない。
それ故、プレッシャーが尋常ではない(苦笑)。
次は「シャルール」。
以前、折り紙のカマキリの台座を作ったときの、あの葉である(笑)。
翌日…
このシャルール、花色が気温に左右されやすいので実に多彩な表情を持つ。
そして開花のステージでも色が変化し続けるので一鉢で多彩なグラデーションが生れる。
数日後…
これはこれで綺麗なんだけど…
気温が高いせいかトロイメライ同様、新しく咲く花が次々と薄くなってきてしまった…(苦笑)。
そこで…
室内の涼しいところに置けば花持ちも、花色も、花形も安定する。
おまけに香りも嗅ぎ放題。
異常気象と上手く付き合っていくしかない。
数日後…
欲張りすぎだろうか…
やっぱり薄い…
暑すぎるんだよな…
う〜ん…
肩の力が入りすぎてるかな…
木村さんも7〜8割で満足したほうが心に良いって言ってたし(苦笑)。
しかし翌日…
この日の朝は涼しかったからなのか色が濃くなってきた。
今日は曇りだったので、この花色が出たのだと思う。
香りも普段は薄いけど、この日はティーの上品な香りが強く出た。
う〜ん…
どうも活力剤を使った翌日に濃くなってるみたいで…
業者の回し者じゃないですよ(笑)。
暑さや寒さ、過湿、乾燥のストレスを緩和する園芸資材。
「バラのストレスブロック」
ここまで劇的な効果があるならトロイメライにも使ってあげればよかった…
最後は「コリンクレイブン」
開花前に蕾が傷んでしまったり、ベーサルシュート(来年の主役になる太い枝)が発生していたのに枯れたり(苦笑)。
なかなか苦戦している。
ラベルのような花を咲かせるには木の成熟が必要らしく、結構、年数がかかるみたい。
基本、バラは皆そうなのだが特にコリンクレイブンは成長が遅く感じる。
花弁が丸まってしまったり花弁数が少なかったり色が薄かったり…
もう、あと1〜2年というところじゃないかな…
シャルールのような派手さこそないが、アート性の高いバラだと思う。
初めて雑誌で見たときは衝撃だった。
藤色のバラも近年、国内外で少しずつ発表されてきているが、こんな花形は初めて。
通行人は藤色が珍しいと言ってくれるが、個人的には、やはり花弁の重なり方だと思う。
時にランダムにうねったりするので本当に優雅で、繊細。
そういう意味で珍しいと思う。
香りはハーブが交じるので火沢は少し苦手だった。
しかし面白いもので何度も嗅いでいるうちに癖になってしまう(笑)。
中香だがハーブ香が印象的で結構強めに感じることもある。
日が経つに連れ存在感が増してきた。
シャルールの派手さに目が行きがちだがコリンクレイブンの独特な雰囲気に惹き込まれる。
写真だと、どうしても赤みが強くなってしまうが実際はもっと青く、花弁の重なりに陰影がある。
特に曇りの日や夕方は、ゾッとするほど綺麗。
最近シャルールより、こちらを褒めていただくことが増えた。
もちろんシャルールも大好きだが、コリンクレイブンは全く別の魅力がある。
気温に左右されず花色の変化が少ないのも、安定感があって良いと言う見方もある。
病弱なコリンクレイブン(秘密の花園から命名)が健康的な少年になっていくという、まさにそんな感じのバラ。
すごいポテンシャルを秘めている。
2021年発表で数年経つが、未だにラベルのように咲かせている方をブログなどで見たことがない。
まだまだ情報が少なく悩んでいたのだ。
noteでコリンクレイブン育てている方がいるかは疑問だが(苦笑)、成長過程を情報発信することは大切だと思うので良い機会だった。
今回、3品種の紹介となったが木村さんのバラはどれも魅力的で本当に素晴らしい。
興味のある方は木村さんのユーチューブもあるので、ご覧ください。