サプライズプレゼント
これは春先の話。
夫は徒歩で通勤している。
その道中、ある家の軒先に「ご自由にお持ち帰りください」という看板があって、たまに野菜が並んでいるという。
人通りが少なく、お家の人も見受けられない場所で、
(本当にもらっていいのかな?)
夫はしばらく悩んだあげく、私に電話してきた。
夫「誰もいないんだけどさ、本当にもらっていいのかな?」
私「え〜〜! きっと家庭菜園で採れすぎた野菜だよ。ありがたくいただこうよ。何があるの?」
夫「春菊と、菜花かな? どっちがいい?」
私「春菊もらおうか。ありがとうって言ってね〜」
夫「はいよ〜〜」
そんなこんなでビニール袋にパンパンに詰まった春菊をいただいてきた。
とっても柔らかい若い春菊で、サラダやパスタにしたらとってもおいしかった。
軒先で無人販売するんじゃなくて、「ご自由にどうぞ」なんて優しいなぁ。
***
話は変わって先日の母の日、SNSで花束をプレゼントしたり、されたりと言ったエピソードを多く目にした。
「母」という人は花束をもらうのか、とちょっと羨ましくなった。
夫から花束なんてもらったことあっただろうか。いや、ない。
誰かから花束をプレゼントされるということは何かの機会に何度かはあったけど最近はとんとない。
たまにはさー会社帰りに花屋さんに寄ってお花買ってきてよ。
とか、夫に言おうと思ったけど、帰りの道中に花屋はない。
前までは帰り道のケーキ屋でたま〜にケーキを買ってきてくれたけど、そのケーキ屋は移転してしまったから、そのサプライズプレゼントももう無くなってしまった。
無い物ねだりだよな〜〜〜
なんて思ってみたけど、そうだ、春菊があった。
どなたかのお家の軒先の春菊。
これはなかなか無いサプライズプレゼントだ。
夫からのというよりも、知らないどなたかのお宅からのだけど。
そう思ったら母の日の花束の羨ましさなどスッと消えた。
花より春菊だ。