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Gloomy_Weasel
2022年2月5日 15:39
――冷たい月花の冠を頂いて、彼女は永遠に眠り続ける――ある日突然、二度と目覚めない眠りに就く――。そんな奇病が蔓延した世界で生きる真波は、ある決断を迫られていた。取るべきものは、己の責務か、それとも……。悪夢の目覚め 夢の中で、真波は彼女と踊っていた。舞台の上、そろいの衣装を着て、互いに見つめ合いながら、互いの呼吸を読み合いながら。 頭の中は冷たく冴えわたっているのに、胸の内は熱く
2020年12月2日 18:45
――世の中には「自分さえ知っていればいいこと」もあるの――ある日、押入れの奥に見つけた文箱。「都忘れ」の香りを閉じ込めた小さな箱の中には、今は亡き祖母の「秘め事」が仕舞い込まれていた。短い溜め息のような,他愛無い短編ですが、よろしければお付き合いを。1 ――拝啓 秋立つとは申せ、残暑厳しき折から、いかがお過ごしでしょうか。―― そんな古風な書き出しで始まる祖母の手紙を見つけた
2020年11月14日 19:14
――彼女は、「裸の女王」だったんだ――祖母の死を知らされた私は、深夜の高速バスに乗って帰省した。悲しいとは思わなかった。記憶の中の彼女は私にとって、恐れの対象でしかなかったから。短編です.よろしければお付き合いを.1 祖母が亡くなったと報せを受けたのは、大学の講義が終わり、ちょうどバイト先に着いた瞬間のことだった。 私はそのまま出勤し、帰り掛け、バイト担当の社員であるAさんに「明
2020年11月3日 14:49
――どちらに転がるにしても、相応の覚悟は必要だよ――かつて「囲われ者」でありながら、自ら望んで「宿なし」の道を選んだ一匹の猫。今わの際に恩師がもらした一言が、過去の記憶を呼び起こす。ヒューマンドラマというか,ニャーマンドラマ?よろしければ,お付き合いを.1――どちらに転んでも、相応の覚悟は必要だよ―― そう言って、その年寄りはこと切れた。路上で途方に暮れていた俺に、生きる術を色々と