①私の先生は中村天風口述書
出会いは30数年前、兄が「この本読んでみな」と私に渡してくれたのが、「成功の実現」というやけに厚い本だった。
当時私は、コンビニ(まだ24時間ではない時代)を経営していて、365日休みの無い生活、毎日のように店を荒らす暴走族や、万引きに心身を痛め、原因不明の首の痛みや、急性腎盂腎炎などでボロボロでした。それが何年も続いたのです。後に、ふとしたきっかけで私の人生をみてくれた風水師さんに「この時代よく生きていましたね」と言われて泣きました。そんな環境でしたから中村天風が提唱するクンバハカ法というストレス低減法にすぐに興味が高まり熱心に読み進め、実践し始めました。
当時から天風会という団体があり修練会も開催されていたようですが、当時の私には、会費や通う時間もなく独学で学ぶしか方法がありませんでした。今思うとそれが逆に良かったように思います。当時から解説書などもたくさん販売されていましたが一つも買いませんでした。
生意気にも直感で、人や商業主義というフィルターを通したものはその時点で自己流と思っていましたから。
日々の生活の中で「クンバハカ法」を練習していくのですが、なぜ、会ったこともない人のストレス低減法(クンバハカ法)を信じたかを少し書きます。
中村天風さんはご存知のように戦争に行かれた人です。軍事探偵(スパイ?)だったようですね。当然、人の生き死には嫌というほど体験されたことでしょう。当時の不治の病にもかかり、それを治すために世界中を巡り最先端の西洋医学の治療を受けますが治らず、死ぬのなら故郷の日本でということで帰国の途に着きます。
その帰路の船の中で、カリアッパ氏に出会い、「お前はまだ死なんから私と一緒に来なさい」といわれ、カリアッパ氏の村へ向かいます。そこで、日本人で初めてヨーガの修行(商業主義のヨガとは全然違います)に入るわけです。そして、
修行中に「絶対のしじま」という境地を体感して、その体感を継続していくうちに病が治っていきます。
日本に帰国してからは、銀行の頭取まで勤め上げ、権威と金と遊びを極めます。
そして突然、一切の権威、地位を捨てて路上説法を始めます。それからは皆さんご存知の通り、のちの日本を牽引することになる財界政界人を多数弟子に持つようになります。
戦争とはいえ、人の生き死にを体験して、死の病にかかって自然治癒力で治して、金儲けもして、地位も権威も手に入れた人。要するに、酸も甘いも知り尽くした人。嘘がない。若い当時の私は、魅かれました。
権威はあっても、言うだけで自ら体現することも無く健康体を説く人って、現代も少なくありません。本物かどうかはその人の姿勢を見れば分かります。現在残っている写真の中の中村天風さんの姿勢には軸が通っています。
クンバハカ法って、ショックを受けた時に、「肩の力を抜く、肛門を閉める、肚に力を入れる」この3つを同時にやるとストレスにならない。っていうことなのですが、これがなかなか出来ない。
笑っちゃうくらい出来ないのです。
当時、中村天風さんの本を読みながら、クンバハカ法も練習しながら、近所の合気道や呼吸法や瞑想にも通いました。
瞑想に興味があったのは、中村天風さんが滝のたもとで「絶対のしじま」を感じてから病が回復していった事に感動して、「絶対のしじま」ってどんな境地なのだろうと探求したかったのです。これも、クンバハカ法と同じで、さっぱり分からない日々が続いていきます。10年ほど経ったころでしょうか?気の合気道が少し出来るようになってきた頃です。対峙している時の感覚が、
「しじま」ってこんな感覚と違うだろうか?と、何かが芽生えてきていたのです。
中村天風さんのお弟子さんで、藤平光一さんという方がいらっしゃいます。その方の著書の中で、藤平光一さんが中村天風さんにクンバハカ法の肚の取り扱いを確認しているところがあり、目からウロコでした。
藤平光一「、、、肚に力を入れたら崩れませんか?」
中村天風「そうだ。お前の言う通りだ」
なんだか変ですよね。言っていることが違いませんか?って私もその本を読んでいて思いました。
そして、私は何年も二人のやり取りの真意が分からずに、悶々とした時を過ごすのですが、気の合気練習をしている時にフッと閃いたので試してみました。
練習相手が踏み込んできた時に、あえて肚に力を入れてみたのです。
やっぱり! なんと技はかからなかったのです。
「はっ、そういう事か!」
積み重ねた修練の結果で気の合気技がかけられるようになると、肚には自然に力が入って充足してきます。
充足しているのに意識的に肚に力を込めると力みとなり、居着いてしまい、技にはならないのです。
つまり,中村天風さんは、一般の人々向けに「肚に力を入れる」とあえて書いたのです。現代でもそうですが、肚はゆるゆるで隙だらけの人が少なくありません。普通にストレスに弱いのです。若い頃の私もゆるゆるでした。
藤平光一さんのような玄人さんには、肛門を軽く閉めるくらいで充分なのです。
その事に気がついてから、合気の技にキレが出てくるし、ストレスに強くなるしで、修練が楽しくなってきました。
ここまでくるには、
本に出会ってから20年は経っていました。
地味な修練の繰り返しで、気の長い話ですね。
自分でもよく探求が続いていると思っています。
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