見出し画像

高コスト体質の根幹を考える

ワインの値上がりが続いています。最近の各種資材価格やエネルギー価格、そして人件費の上昇を考えればそれもまた仕方のないことと言わざるを得ません。一方でそうした社会状況の中においても価格を低く抑えたワインも多くリリースされています。なぜこのような差が生じているのでしょうか。

理由の大きな部分は生産規模です。ワインは基本的に設備産業であるため規模を大きくして大量生産を行うほど生産効率が上がり、原価率が下がります。この結果販売価格を低く抑えることができます。

ではワイン造りにおいて生産効率を引き上げるには規模を拡大する以外にないのかといえば、そうではありません。むしろ中小から零細規模のワイナリーにおける価格差、もしくは利益率の大部分はこの生産効率、生産性に関わっているといえます。

ここから先は

3,355字
この記事のみ ¥ 500

ありがとうございます。皆様からの暖かい応援に支えられています。いただいたサポートは、醸造関係の参考書籍代に充てさせていただきます。