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朝起きられないのは、なまけているわけじゃない?【OD】

「朝、どうしても起きられない…」
「学校に行こうと思っても、体が動かない…」
そんなお子さんの様子を見て、
「学校をサボりたいのかな?」と思ったことはありませんか?

朝起きることがつらいのは、"気持ちの問題"ではなく、体の仕組みが原因になっていることがあるのです。

夜になると元気なのに、朝になると動けない…そんな症状がある場合は、もしかしたら起立性調節障害(OD)かもしれません。


起立性調節障害(OD)とは?

起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation=OD) は、思春期に起こりやすい自律神経機能失調と考えられており、急激な身体発育のために自律神経の働きがアンバランスになった状態 

https://www.od-support.com/
思春期に起こりやすい自律神経の不調。

自律神経とは、心臓を動かしたり、血圧を調整したりする体の働きをコントロールする神経のこと。
このバランスが崩れると、
「朝、体がうまく動かない」
「立ちくらみがする」
といった症状が出やすくなります。

ODの子どもたちは、 「起きたくても起きられない」 状態。
決してなまけているわけではなく、体が言うことをきかないのです。

【ODの主な症状】
✅ 朝、なかなか起きられない
✅ 立ちくらみやめまいがする
✅ 頭痛や倦怠感が続く
✅ 夜になると元気になる
✅ 少し動いただけで疲れやすい

凸凹ちゃんは、もともと自律神経のバランスを崩しやすい傾向があります。
不登校の背景に、ODが関係していることも少なくありません。

どうしてこんな症状が出るの?

ODの発症原因はまだはっきりとは分かっていません。

自律神経の調節がうまくいかず、起立時に身体や脳への血流バランスが悪くなることが関係していると考えられています。

朝起きて立ち上がると、血液がスムーズに心臓へ戻り、脳にも十分な血流が行き渡ります。
ODっ子はこの調整がうまくいかず、脳への血流が不足してしまうのです。

朝は体が動かず、夜になると元気になるという特徴が見られます。

ODの治療は?

起立性調節障害と似た症状の病気もあるため、まずは受診することが大切です。

💡 どこで診てもらう?
中学生までは小児科で受診するのが一般的です。
✅ 必要に応じて内科や心療内科を受診することもあります。

💡 どんな治療があるの?
特効薬はなく、こどもの状態に合わせた治療が必要です。

🔹 非薬物療法(生活習慣の見直し)
水分・塩分を意識して摂る(血流を促すため)
適度な運動(無理のない範囲で体を動かす)
起きる前に手を動かす(少しずつ体を目覚めさせる)
立ち上がるときは頭を最後に持ち上げるようにする(血圧の急激な低下を防ぐ)

🔹 薬物療法
症状が重い場合は、体質や症状に合ったお薬が処方されることもあります。
(例:血圧を調整する薬、自律神経のバランスを整える薬、漢方薬など)

🔹 心理療法
こども自身が病気を理解すること(「怠けているわけじゃない」と安心する)
家族や学校が適切な対応をすること(ストレスの軽減が大事)

🔹 全人的医療(トータルケア)
ODは身体の問題だけではなく、生活環境や心理的な要素も影響するため、こどもを取り巻く環境全体を考えることが大切です。

ODは治るの?

💡 回復の目安
ODは成長とともに回復することが多いですが、回復までの時間には個人差があります。

軽症 → 数か月で回復
中等症 → 1年後の回復率50%、2~3年後の回復率70~80%
重症 → 身長の伸びが止まってから1~2年で回復することが多い

大人になっても体調不良が続くケースもあるため、無理をせず、長い目でケアしていってください。

体調不良を軽減するためにできること

① 周囲ができること(家族・学校)

本人への理解を深める(「怠けじゃない」と知るだけで安心する)
ストレスを減らすための配慮をする(無理に起こさない、予定を詰めすぎない)
安心できる環境を整える(学校や家庭でリラックスできる空間を作る)

② 本人ができること

暑い日や熱い場所に注意する(自律神経が乱れやすくなるため)
長時間の立ちっぱなしを避ける(血流が悪くなりやすいため)
三角座りなど、同じ姿勢を長時間続けない(血流が滞るのを防ぐ)

「学校に行きたいのに行けない」ODっ子の事例

ODの症状は、学校生活に大きな影響を与えます。

「起きたくても起きられない」
「行こうと思っても体が動かない」ため、
遅刻や欠席が増え、不登校につながることもあります。
ODと向き合ってきたご家庭の事例を紹介します。

事例A:がんばりたかったけど、ついていけなくなった

中学3年生のAさんは、学年末テストを受けられませんでした
ODの診断を受けたことで、出席日数の条件を緩和してもらい、なんとか進級できました。

「やっと進級できた!」とうれしそうにしていたAさん。
しかし、5月になると、体調が悪化して再び学校へ行けなくなりました
勉強の遅れがプレッシャーになり、ますますしんどくなってしまったのです。

最終的にAさんは通信制高校へ転校しましたが、サポート校(学習支援の場)にも通えませんでした
Aさんが通っていたサポート校は塾のような場所であり、学校ではないため、思うように適応できなかったのです。

Aさんのママは、「このままでいいのかな」と悩み
Aさんは、「これで自由になれた」と話していました。

最初はつらかったけれど、少しずつ家で過ごすことに慣れ、自分のペースで生活できるようになったのです。


事例B:「体調不良の不登校」は、自律神経の弱さが原因だった

Bさんは、ODに加えて過敏性腸症候群(IBS) もありました。
朝起きるのがつらいだけでなく、お腹の不調も重なり、体調不良による不登校に。

お医者さんから「自律神経のバランスが弱い子は、こういうことが起こる」と説明を受けて、少し気持ちが楽になったとのこと。

不登校への対応で大事なのは、
「どうしたら学校に行けるか」よりも、
「どうすればストレスなく暮らせるか」

学校に行くことがゴールではなく、こどもの「ココロとカラダを大切にする」ことを優先することが大事だと分かりました。


事例C:動かそうとすればするほど、動かなくなる

Cさんの息子さんは、ODでほとんど動かない生活をしていました。
「このまま寝たきりになってしまうのでは…?」と、不安でいっぱいだったママ。

なんとか動かそうと、
✅ 一緒に出かけようと誘う
✅ 室内用のトランポリンを買って運動をすすめる
…でも、全く動こうとしませんでした。

あるとき息子さんが「映画館に行きたい」と言い出したのです。

最初は、歩くだけでもしんどそうにしていました。
でも、好きな映画を何度も観に行くうちに、30回目の映画鑑賞の日には全く疲れていないことに気づきました。

「やりたいことがあれば、動けるんだ!」と実感したママ。
「無理に動かそうとするよりも、子どもが好きなことを見つけたら自然と動けるようになる」と学びました。


ODのこどもたちと、どう向き合う?

ODのこどもたちに大切なのは、「とにかく動かす」ことではありません。

こどもが楽しく過ごせる時間を作る
「学校に行けない=ダメ」と思わない
無理に動かそうとせず、子どもがやりたいことを見つける

親としては、「なんとか学校に行かせたい」と思ってしまうかもしれません。
無理に動かそうとすると、かえって心も体も疲れてしまいます。

こどもの「やりたい!」を大事にしながら、焦らず見守ることが大切です。

まずは「今、できること」から

ODっ子たちは、「朝起きられない自分」に罪悪感を抱えていることが多いです。

✅ 1日5分でもいいから、座って過ごす時間を作る
好きなことをする時間を大事にする
学校だけがすべてではないと伝える

親も子も、焦らず、少しずつできることを増やしていきましょう。

「学校に行けない」ことで悩むよりも、「この子がどうすれば笑顔で過ごせるか」を一緒に考えていけるといいですね。

OD関連団体
親の笑顔を子どものもとへ届けできるようピアな関係つくりに取り組む団体として活動している
NPO起立性調節障害ピアネットAliceさま
親の会、個別相談、セミナー、サポートブックの販売などされてあります

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このnoteを書いた、なぎちゃんはこんな人です。
よかったらあわせて読んでみてくださいね。 



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なぎちゃん✤発達障害特化型親子カウンセラー
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