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発達障害を治す薬は、ありません

「発達障害を治す薬は、ありません」
このタイトルに驚く方も多いのではないかと思います。
一部の治療方法や薬は症状の緩和や一時的に改善となりますが、「治す」ものは、​​今のところありません。
ADHD(注意欠陥多動性障害)やASD(自閉スペクトラム症)のお薬を飲むケースが増えてきました。
副作用や依存症、断薬のたいへんさもありますので、かかりつけ医の説明をしっかり受けてください。

★特性による詳細は、コチラをお読みください


発達障害で処方される薬

①ADHDで処方されるお薬

主治医によっては、特定のお薬を処方できないこともあります
  1. コンサータ(メチルフェニデート)
    中枢神経刺激薬で、脳のドーパミンやノルアドレナリンの働きを改善し、衝動性や集中力をサポートする効果があります。

  2. ストラテラ(アトモキセチン)
    日本では2009年にADHDの治療薬として承認されました。非中枢神経刺激薬であり、脳のノルアドレナリンの分泌を集中させ、集中力や行動のコントロールに効果があるとされています。

  3. インチュニブ(グアンファシン)
    非中枢神経刺激薬で、集中力の持続や衝動性の抑制を助ける効果が期待されます。

  4. ビバンセ(リスデキサンフェタミンメシル酸塩)
    ドーパミンとノルアドレナリンの再取り込み疎外とこの2つの物質の分泌促進作用があるとされている
    体内で代謝された後に活性体に変化し効果を発揮する

サインバルタ(SNRI)
セロトニンとノルアドレナリンの働きを高める作用がある。
うつ病で処方されるお薬ですが、ストラテラと同じノルアドレナリン再取り込み阻害作用を有しており、ADHDへの効果も報告されているそうです。

②自閉症スペクトラムで処方されるお薬

  1. リスパダール
    ドーパミンとセロトニンの働きをブロックする

  2. エビリファイ
    ドーパミンを適切な量に調整する

「イライラする」 「興奮している」状態を落ち着かせてくれる漢方薬として【抑肝散】が処方されることもあります。

③睡眠障害で処方されるお薬

凸凹ちゃんは睡眠障害を併発している場合が多く、良質な睡眠が得られないこともあります。そんなときによく処方されるお薬です。
  1. ロゼレム
    メラトニン受容体に作用し、不眠症における入眠困難などを改善する

  2. メラトベル
    2020年春に承認された新薬で、メラトニン成分
    ASDやADHDなどの神経発達症のあるこども(6〜15歳)にのみ認められている薬

お薬の使用に際しては、医師の慎重な判断と保護者の協力が大切です。
副作用のないお薬は、ありません。

薬物療法の限界とリスク

薬物療法の限界についても考慮が必要です。こどもの成長期において、脳内伝達物質を変動させる薬を長期使用することは、発展に見通しの可能性があると危惧する専門家もいます。
薬物療法を始めることで授業中に集中力が増し学習の効率が上がったという成功例もありますが、食欲減退や眠気といった副作用が、成長期において健康管理の課題となることもあります。

薬物療法のリスク

  1. 成長期のこどもに対して、脳内伝達物質をいじる投薬の危険性の長期エビデンスは出ていない。

  2. 始めてしまうと減薬・断薬が難しい。

  3. 脳が自己内で調節する事を学習する機会を逃す。

  4. 脳や身体の土台を作る成長期には、食欲減退が致命的になる。

  5. ADHDなどは、潜在能力が高いと言われているのに、能力発現の機会を奪ってしまうかもしれない。

親としてどう向き合うべきか

薬の説明の部分ではメリットが強調され、副作用は小さく説明されることもあります。前もってどんなお薬か知っておけば医師からの提案にその場で答える心づもりができると思います。
こどもが生きるのがしんどそう
親が精神的に参ってしまう
虐待してしまう
家族関係が壊れてしまう
…など一時的、補助的に薬物療法の選択肢があるのではないでしょうか?

お薬だけに頼らない育て方のヒント

薬物療法をして困りごとへのアプローチ方法が確立できたら、かかりつけ医に相談しながら減薬することをおススメします。
  1. 環境調整:適切な配慮を行い、こどもが自分のペースで学習や生活ができる環境を整える

  2. ペアレントトレーニング:こどもの特性を理解し、親自身もストレスを感じない方法で接する

  3. カウンセリングや支援:発達障害専門のカウンセリングや、学校の特別支援との連携を取り組む

  4. 薬以外のアプローチ方法:医療薬だけでなく、漢方薬やアロマセラピーなど小児はりのような自然療法も試みられています。 

  5. サポートの力を借りる:学校や専門の支援機関と連携し、日常生活で適切なサポートを行う。

  6. 親自身のケアも大切に:お子様を支えるためには、親も心身ともに健康でいることが必要です。

一生お薬を飲み続けるのもわたしは、「ちがう」と感じました。お薬を否定するのではなく、上手に付き合っていきたい。
お薬は…本当に繊細な問題です。
あなたに「合った」からといって
わたしに「合う」とは限りません。
どんなふうに効果がでて
どんな感じに副作用がでるかは服用してみないとわかりません…。
悩んで
調べて
迷っての繰り返し。
ぜひ目の前のお子さんをしっかり「観て」ください

小学校入学後の投薬体験〜わが家の場合〜

小学校に入学して間もなく、わが家ではかかりつけ医から投薬をすすめられました。6歳から投与可能なお薬があるためだと思われます。

投薬時の注意点
投薬を始めるときには、体重などに合わせて薬の量を調整する必要があります。
目に見えて効果がすぐ現れるわけではありません。わたし自身は、わが子が投薬を中断して初めて「お薬が効いていた」と実感しました。
⚠️投薬の開始や中断は、必ずドクターと相談してください!

友人のお子さんの例では、学校に通うときだけコンサータを服用し、休みの日は飲まないという方法をかかりつけ医と相談しながらされていました。

投薬を決めた理由
わたしが投薬を決めたのは次の2点が理由でした。

  1. ドクター自身が「わたしがこの環境ならお薬を飲みます。」とアドバイスをしてくれたこと。

  2. こどもがチックを発症したこと。

環境を整えながら、かかりつけ医と相談を重ね
投薬を一度中断しました。
当初は、インチュニブとエビリファイを服用していましたが、現在はインチュニブのみ服用しています。

こどもにお薬のことをどう伝えるか
毎日飲むお薬なので、こども自身が「なぜ飲むのか」を理解することが大切。
風邪薬とはちがい、具体的な症状が目に見えないため、わが子への説明が必要でした。

例えば

  • エビリファイ:夜、怖い気持ちを和らげてくれるお薬だよ。

  • インチュニブ:集中したい気持ちを助けてくれるお薬だよ。

副作用がないかどうか、飲んだ後の様子を観察し、こども自身にも気分はどうかを確認していました。インチュニブを飲んでいた頃、血圧が下がる副作用が出ていましたが、測るまでは本人もそのことに気づいていませんでした。
※副作用には個人差があります。一般的に言われているものと違う場合もあるので注意してください。

お薬を飲むときのアイデア
きちんと飲まないとお薬が効果を発揮しないとは、わかっているのですが…定期的に飲むのがむずかしい特性のこどももいますよね。
本人も親もお薬を飲むことがストレスになるとお聞きしたことがあります。
飲めない、飲みにくい、忘れる場合は、
処方したドクターに相談してみましょう。

わが家の工夫は…

  • 1日、2回お薬を飲むのを忘れてしまう
    お薬を一包化し、日付と名前、いつ飲むのかを印刷してもらう
    1日、1回の薬に変えてもらう

  • カプセルで飲むのがむずかしい
    お薬の種類もしくは、メーカーをかえてもらう

  • 粉の薬を飲めない
    お薬の種類もしくは、メーカーをかえてもらう
    水にとかしても良いのかを確認

毎日飲むことになった場合、こどもの負担をすこしでも減らしてあげたいもの

発達障害は「治す」のではなく、【慣れる】もの

お薬のことで困ったら、かかりつけ医もしくはかかりつけ薬剤師さんにご相談ください。

本人が【慣れ】工夫する
家族や周りの人が【慣れ】関わり方がわかる
薬を飲んでも特性は治るのではなく、【うすくなる】という言い方がしっくりきます。
現時点では「特性とは一生つきあっていくものだ」とわたしは考えています。

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なぎちゃん✤発達障害特化型親子カウンセラー
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