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サポーターあってのJクラブ

スポーツ産業というのはファンやサポーターの安全安心の上に成り立っているものなのだと改めて感じております。安全安心と産業を維持していくことのバランスをどう考えていくのか選手の立場から考えていきたいと思います。

新型コロナウイルス状況下のクラブ経営

政府から休業補償がされているように、新型コロナウイルスの影響で多くの産業が厳しい状況にありますが、スポーツ産業も厳しい状況に陥っており、我が浦和レッズも例外ではありません。

僕もあまり知らなかったのですが、浦和レッズがどのように運営されているのかを調べてみました。内情を暴露するとかそういう話ではなく、チーム公式HPに経営情報が公開されておりますのでご安心ください。

浦和レッズの経営状況

昨シーズンの浦和レッズの売上は82億1,766万円で過去の最高の売上です。Jリーグ55クラブのビジネス力のランキングでも1位でした。

内訳は広告料収入38億円入場料収入23億円とここが2大収入のようです。(成績はACL準優勝以外不甲斐ない結果で申し訳ないです。今年こそと意気込んでいたのですが・・。)

そして支出は80億8,172万円で、選手・監督・コーチ報酬約32億円と大きな割合を占めています。グッズ関係費・スタジアム関係費・広告料関係費・トップチーム運営費これらが試合運営に関わる費用になると思いますが合わせて約35億円です。売上のほとんどが僕たち選手・スタッフの給料と興業である試合の運営費になっているようです。

2019年度浦和レッズの経営状況
営業収入:82億1,766万円
 広告料収入:38億41百万円 
 入場料収入:23億円 
 グッズ収入:9億3百万円
 Jリーグ分配金:4億68百万円
営業支出:80億8,172万円
 選手・監督・コーチ報酬:32億28百万円 
 グッズ関係費・その他事業費:12億97百万円
 スタジアム運営関係費:10億1百万円
 広告料関係費:7億40百万円
 トップチーム運営経費:6億2百万円
営業利益:1億3,594万円
当期純利益:6,198万円

浦和レッズの観客動員数

浦和レッズの入場者数は経営面以上にスゴい!J1平均入場者数が約2万人であるのに対して、浦和レッズは約3万5000人です。昨シーズンを振り返ってみると一番多かったのは神戸戦の54,599人です。完全にイニエスタ効果ですね。出場しなかったけど笑。

2019年度浦和レッズの観客数
浦和レッズ平均入場者数:34,184人
J1全クラブ平均入場者数:20,751人
 1節 仙台 0-0 A 18,567
 2節 札幌 0-2 H 41,109
 3節 松本 1-0 A 18,922
 4節 C大阪 2-1 A 21,022
 5節 FC東京 1-1 H 39,055
 6節 横浜FM 0-3 H 32,555
 7節 G大阪 1-0 A 27,870
 8節 神戸 1-0 H 54,599
 9節 清水 2-0 A 18,246
 10節 磐田 0-1 H 53,361
 11節 名古屋 0-2 A 30,839
 12節 湘南 2-3 H 23,221
 13節 広島 0-4 H 33,235
 14節 川崎F 1-1 A 24,578
 15節 鳥栖 2-1 H 28,081
 16節 鹿島 1-1 H 37,265
 17節 大分 0-2 A 14,519
 18節 仙台 1-0 H 28,904
 19節 横浜FM 1-3 A 33,673
 20節 磐田 3-1 A 23,060
 21節 名古屋 2-2 H 37,238
 22節 札幌 1-1 A 35,531
 23節 神戸 0-3 A 22,513
 24節 松本 1-2 H 27,038
 25節 湘南 1-1 A 13,569
 26節 C大阪 1-2 H 22,640
 27節 鳥栖 3-3 A 14,099
 28節 清水 2-1 H 34,131
 29節 大分 0-1 H 19,698
 30節 鹿島 0-1 A 14,439
 31節 広島 1-1 A 6,710
 32節 川崎F 0-2 H 21,817
 33節 FC東京 1-1 A 40,202
 34節 G大阪 2-3 H 47,188

浦和レッズサポがどれぐらいスゴいかというと世界のトップ50に入るほどです。僕もドイツでプレーをしていましたが、1位のドルトムントが8万人と桁違いではあります。。僕が所属していたケルンも19位で4万8346人です。ケルンサポーターも本当に熱狂的でした。ただ、浦和レッズはそれに負けないぐらいの熱量であることは間違いありません。

1 ドルトムント ブンデスリーガ 80,230
2 マンチェスター・ユナイテッド プレミアリーグ 75,218
3 バルセロナ リーガ・エスパニョーラ 74,876
4 バイエルン ブンデスリーガ 73,781
5 レアル・マドリード リーガ・エスパニョーラ 69,822
6 シャルケ ブンデスリーガ 61,328
7 アーセナル プレミアリーグ 59,793
8 ハンブルガーSV ブンデスリーガ 52,349
9 シュツットガルト ブンデスリーガ 52,012
10 アトランタ・ユナイテッド MLS 51,547
11 ボルシアMG ブンデスリーガ 51,369
12 マンチェスター・シティ プレミアリーグ 50,864
13 ニューカッスル プレミアリーグ 50,721
14 ベンフィカ プリメイラ・リーガ 50,077
15 アヤックス エールディビジ 49,781
16 セルティック スコティッシュ・プレミアシップ 49,697
17 ヘルタ・ベルリン ブンデスリーガ 49,476
18 レンジャーズ※ スコティッシュ・プレミアシップ 49,054
19 ケルン ブンデスリーガ 48,346
20 フランクフルト ブンデスリーガ 47,942
21 リバプール プレミアリーグ 47,861
22 アトレチコ・マドリード リーガ・エスパニョーラ 47,553
23 インテル セリエA 46,654
24 フェイエノールト エールディビジ 46,314
25 パリ・サンジェルマン リーグ・アン 45,912
26 広州恒大 中国スーパーリーグ 44,905
27 マルセイユ リーグ・アン 44,169
28 ウェストハム プレミアリーグ 43,567
29 シアトル・サウンダース MLS 42,797
30 ハノーファー ブンデスリーガ 41,966
31 クラブ・アメリカ リーガMX 41,527
32 ACミラン セリエA 41,495
33 チェルシー プレミアリーグ 41,463
34 トットナム プレミアリーグ 41,335
35 ティグレス リーガMX 41,091
36 ブレーメン ブンデスリーガ 40,860
37 モンテレイ リーガMX 40,658
38 サンダーランド プレミアリーグ 39,249
39 スポルティング プリメイラ・リーガ 39,068
40 リヨン リーグ・アン 38,995
41 アスレティック・ビルバオ リーガ・エスパニョーラ 38,974
42 ユベントス セリエA 38,778
43 北京国安 中国スーパーリーグ 38,761
44 ナポリ セリエA 38,475
45 エバートン プレミアリーグ 38,451
46 ローマ セリエA 37,621
47 バレンシア リーガ・エスパニョーラ 37,615
48 浦和レッズ J1 36,468
49 ペルセポリス イラン1部 36,025
50 ベティス リーガ・エスパニョーラ 35,664
51 重慶力帆 中国スーパーリーグ 35,032
52 ポルト プリメイラ・リーガ 34,520

浦和レッズの存在価値

浦和レッズが何故経営的に良いかというと「浦和のサポーターがアツいから」ということだと思います。

僕たち選手は試合で結果を出すことが目的ではなくて、試合で結果を出すことを通じて浦和サポのみんなと喜びを分かち合うこと、スポンサーの方々もクラブの一員として同じ方向を向いてタイトル獲得に向けて取り組むこと、そして何よりホームタウンの地域の人たちに自分の地元に浦和レッズがあることに誇りを持っていただくことが大事であり、それが回り回って浦和レッズの価値となり、浦和レッズの経営に結果として現れてくるのだと思います。

Jリーグは各都道府県にクラブを作ってきましたが、特に浦和という地に根付いたこのクラブは、この土地でサッカーが文化になっていると感じています。ACLで優勝して浦和駅で号外が出て、街中が夜中までお祭りになった、あの雰囲気は特別なものがありました。こういった状況になった時に、地域の子供達のために、また地元の長年にわたってクラブを支えてくださって企業に何ができるのか、この地域に支えられてきたクラブとして、文化のあるこのクラブが示していかなければいけないと思います。

僕も小さい頃に親にJリーグの試合に連れて行ってもらった記憶があります。特にゴールデンウィークは多くの子供連れのご家族が試合を観にきてくれます。仕事が忙しくてもゴールデンウィークだけは試合に子供を連れてくる。そんな風に開幕前から楽しみにしてくれていた家族もいるかもしれません。このタイミングで試合があったら、サッカーが好きな多くの子供達が試合を観戦していたはずです。もちろん試合以外にも、クラブとして地域社会に何ができるのかを考えこれからも貢献していきたいと思います。

新型コロナウイルスとJリーグ

新型コロナの影響で、浦和レッズもこのままでは厳しいという記事が出ているように各クラブの状況を経営面で考えると非常に厳しい状況です。計画していた収入が100%入ることはもはや有り得ない状況だと思います。

試合がないことには入場料収入もスポンサー収入も入りません。ただ、お客さんを入れるのは当面厳しい状況が続くでしょう。とすると、まずは無観客試合を行うことでスポンサー収入を得る、安全を確保できた状況で観客入れることで入場料収入を得る、という段階的に収入を得ることが想定されます。

新型コロナウイルスで改めて気付かされるのは、試合がないとJリーグはじめスポーツ産業が成り立たないということです。当たり前のことなのですが、試合がないと本当に1円も入ってこないのです。

僕たち選手もそうですが、クラブのスタッフはじめ多くの人がサッカーで生活をさせていただいております。レッズランドはじめとする施設の維持費等もかかります。

札幌は選手たちが報酬の一部を返還することを決めたようです。

万が一クラブが経営破綻をしてしまうことは、その地域からサッカー文化の火が消えてしまいかねない状況を意味すると思います。

浦和レッズだけでなくJ1からJ3まで全国に55クラブあり、売上総額は1000億円を超え、観客動員数は1100万人を超えるほどの産業に成長しました。川淵さんの著書「だまってられるか」によるとJリーグ開幕前の日本サッカー協会の収入は16億円だったようですので、サッカー協会、Jリーグ本体の売上を足せば100倍の規模に成長をしたということになります。

スポーツ界にお金が入ると、そのお金を選手の育成に使ったり、ホームタウン活動に使ったり、スポーツの界の発展の為に投資がされます。スポーツ文化を育てていくには、夢とビジネスを両輪で回していくことが大事だと思います。

安全安心を確保するとともに、産業をどう維持していくか、その中で僕たち選手として何ができるのか日々考えております。

海外はどうしているのか、無観客試合の中で僕たちは何をしたら良いのか、ということなどを今後書いてみたいと思います。

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