最近読み返した本(デザイン関係)
私は個人でデザイナーになって今年で9年目になりました。Nagaoka Design Officeの名前で中小企業や個人の方などのグラフィックデザインを手掛けています。個人であるがゆえに相談したいときに誰にも相談できないというような状況がある中で、本が一番の相談相手になることが多くあります。
そのため本は日頃からよく読んでおり、最近は新しい本を買い足すのではなく、本棚の本をあらためて読み返すということにハマっています。
それは、読み返すと最初に読んだ感覚とまた違う感覚で読めるので発見が多かったり、その当時の時代を感じることができ、そこからどう変わったかなど時代の変化も感じられて楽しかったりもします。
個人で活動していたり、デザインやビジネスのことで悩みを感じていたりと同じような悩みを持っている人たちの助けに少しでもなればと思い、これから定期的に最近読み返した本を紹介したいと思います。
最近読み返した本
・塑する思考 佐藤 卓 (著)
・わらうデ 梅原真 (著)
塑する思考
2017年の発行の書籍で、デザインとは何かという定期的に起こる自分自身の問いに答えてくれる本です。
佐藤卓さんの「デザイン」という良くも悪くも広く出回ってしまった言葉に対する考え方がとても好きで、毎回同じところなのにラインを引きたくなります。とくにものごとには「わきまえ」があり、日常に溶け込んで欲しいものは過剰なまでの装飾をされると困ってしまうという考え方は自分もデザインをする上で大事にしている考え方の一つです。
本の中では過剰なまでの便利さということが現代の病になっていることにも気づかせてもらえます。
余談ですが、全然デザインの知識がないころに白い豆腐のような佇まいが気に入って使っていたガラケー(P701iD)のデザインを佐藤卓さんが手掛けていたということを後から知り驚いた。
デザインに数年携わり、デザインってなんだっけと思い始めた人におすすめです。
わらうデ
2023年の発行の最近の書籍ですが、発売当初に一回読み最近また読み返した。
梅原さんのデザイン感もとても共感できるので、これからデザイナーとしてどういう方向性が必要なのかを考えさせられる本です。
今ではよく耳にする地方、地域デザインですが、そんな言葉もないころから地方のデザインを手掛けており、残すべき日本の資産を(お金だけではない)うまくデザインされていて勉強になることばかりです。本自体も梅原さんの語り口調で思わずニヤっとしてしまうところが多く、話を直接聞いているような感じがして読みやすいです。本の中で空想の大事さも書いてあり、良い空想がそもそもないとどこに辿りつくかわからないのでデザイナーにとって空想とは必要不可欠なんだろうなあらためて思いました。デザインってなんのためにあるのだろうと考えたときに自分の指針になる本です。
あまり内容を書きすぎるとネタバレしておもしろくないので、触れすぎないようにまとめましたがいかがでしょうか。
両者とも日本人が持っている、情緒やわきまえなど微妙な感覚を理解しデザインしている印象を受けるので、この感覚を失いかけているなと思ったらまた読み返します。
デザイナーを続けているとたまに「デザインってなんだ」と考えることが定期的にあると思います(自分だけかもしれませんが)。そんなときに見返すおすすめな本はまだまだあるのでまた別の機会で紹介できたらと思います。