238:休日の朝
・朝、目が覚めると寂しさに襲われる。
・閑静な住宅街、同居人のいない一人暮らし。築年数38年の木造アパートの中で、静かな朝を迎える。
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・布団の中でスマートフォンを開き、スマート家電化させているモニターの電源をつける。Youtubeを開き、音楽をモニターで流し始める。
・いくつかのLINEに返信したあと、ベッドから手の届く位置にあるカーテンを開いて部屋に光を届け、布団から出る。
・その間、頭の中にはどうせ今回も叶うことはないであろう片想いの相手を思い浮かべている。傷つきたくないので、進展はおそらくもうない。
・考えても無駄なことはわかっているのに、ボケた頭の時には彼女の存在がチラつく。考えたくない。
・恋愛感情を持つことが数年振り過ぎて、どうしたら良いのかわからない。
・布団から出た後は重い身体を引きずって台所まで行き、冷蔵庫から水を取り出す。
・その水で、抗不安薬と胃薬を服用する。そうやって、ようやくその日活動できる身体を手に入れる。
・その後、洗面所に行く。ユニットバスの壁にマグネットで引っ掛けている防水スピーカーの電源を付け、スマートフォンとペアリングし、音楽を洗面所の方で流し始める。
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・コンタクトレンズを付け、歯を磨き、洗顔し、軽くシャワーを浴びる。
・パジャマから外行き用の服に着替える。外行きと言っても、誰にも会う予定がない時はめんどくさいのでジャージとスウェットを着る。
・その後簡単に髪を整える。
・防水スピーカーの電源を切り、リュックサックに作業用のパソコンや読みたい本を詰める。
・準備ができたら、外に出る。時間帯・気分によってコワーキングスペースに行くか、駅近くのドトールに行くか、昼から開いている馴染みのある喫茶店に行く。
・そうやって休日を始める。
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・この暮らしはいつまで続くのだろうか。あるいはずっとこの暮らしが続くのだろうか。
・夕暮れ時になると、少しだけ虚無感が現れる。充足している気がしていて、心のどこかは満たされていない。
・と、書いている途中で友人から電話がかかって来た。
・案外、悪くない生活かもしれないな。