晴れの日も雨の日も#344 谷川俊太郎さんシリーズその2
拙note前号では谷川俊太郎さんとイラストレーターの合田さんが絵本を作るNHK番組を取り上げたが、その翌週も谷川さん追悼番組が放映されていた。「詩のボクシング」という番組だ。ねじめ正一さんと詩で対戦するらしい。
私はねじめさんという方は初めてで、何者なのか存じ上げない。「詩のボクシング」という企画もなんだかよくわからない。はてなマークだらけで見進めたのだが、最後の最後に感銘を受けた。
この企画、お互いに持ち時間3分で自分の詩を交互に朗読する。それを計10回やる。最終回は即興詩ということで、くじで引いたお題についてその場で即興で詩を作って読み上げる。
谷川さんは「ラジオ」というお題を引いた。が、その詩に「ラジオ」という言葉が出てきたのは1回きり。むしろ一番頻出度の高かったのは「ことば」という文字だ。
私も見ていて、「これ、別に『ラジオ』の詩とちゃうやん」と思ったのだが、解説者の話を聞いて納得した。
谷川さんは普段から「ことば」について深くたくさん考えていて、しかもそれがご自身の中で整理されている。で、それが谷川さんが一番表現したいものでもある。谷川さんは、最後の即興詩はどんなお題がきても「ことば」について語ろうと準備をしていたのではないかというのだ。その準備具合が谷川さんとねじめさんでは異なり、それが最後の勝敗に影響したと解説者は語っていた。
なるほどなあ。普段の準備か。
これはたぶん我々のプレゼンとか挨拶にも通じる。
原稿を棒読みするのでは聞き手に伝わらない。相手にインパクトを残すためには、「その場」をどう作るかが生命線であり、まさに即興だ。だが、普段から準備がなされた即興とその場の思いつきの即興は全く異なる。事実その詩は谷川さんの言葉への思いがよく現れており、パンチのある作品だった。
良いインタビューをするために、ということでも同様の話を聞いたことがある。
インタビュアーは当然相手のことを事前に調べる。そしてそれを元にいろいろ質問を考える。この段階では質問は多ければ多いほどいい。で、そこから相手に刺さりそうな質問、聴衆にヒットしそうな質問を選んでいく。そして最後に、それらをいったん全部忘れる。もう一度白紙になって相手に向き合うのが良いという。
準備は入念にするが、それにとらわれたり縛られたりすると「その場」をうまく作れない。相手と向き合う時にはただただ相手とその場に集中することでいいインタビューができるという考え方だ。
私が今やっているコーチング同様だ。もっと言えば人と会うこと、会話をすることそのものが「生物」だ。それも「ナマモノ」「イキモノ」と2つの意味がある。
あらかじめ決めた通りにやろうと思ってもそうはいかない。仮にいったとしても、それは杓子定規なような、無味乾燥なような、上質な美味しさに欠けてるような、そんなものにしかならない。「ないものは出ない」という言葉もある。普段の準備と即興の掛け算を大事にしたいと改めて思った。
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今日も最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました♬ 長井 克之
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(つづく)