ひと月に35日雨が降る島
こんにちは、SRライダーのなっちゃんです。
ここ数日、もう夏が来たのかと錯覚するくらい強い陽射しの日もあれば、梅雨の時期らしくシトシトと雨が降る日もあって、天候に合わせてるだけでなんだか身体がエライと感じてしまう今日この頃…
でも、このすこし蒸し暑くジメジメした空を見上げていて思い出した場所がある。
それが、ひと月に35日雨が降る島、屋久島。
ある夏の日、ふと屋久杉を見に行こうと思い立ち、リュックを背負って旅に出た。
きっかけは覚えていない。
リュックの中身は数日分の着替えとカメラとお財布。
どうやら屋久杉を見に行くには登山道具が必要なようであったが、それは島についてからレンタルすることにした。
実はこう見えてお嬢様なワタクシは、プライベートジェットでこの地に降り立った…というわけではなく、屋久島への渡る方法は船か飛行機。
中部地方から行くには、まずは九州まで飛行機で行くのが早かったので、そのままトランジットで行ける小型のプロペラ機に乗ることにした。
島についてから聞いたのだが、この日は高波でフェリーや高速船が欠航してており、飛行機で来るのが正解だったようだ。
一方、島に物資を運ぶのは船なのだそうで、この日は屋久島は島全体が生活用品が品薄になっていた。
到着が昼過ぎであったため、さっそくお昼ごはんを食べに出かけた。
「今日は物資が入ってこなかったから、あるもので出せるメニューでいいですか?」と聞かれたので、もちろん「はい」と答えた。
が、出してもらったものを見てびっくり。
羽の生えた魚…???
そう、それはトビウオのから揚げだった。
味は、ふつうの魚。見た目のインパクトはすごい。
食堂でトビウオに齧りついていると、地元のお客さんの会話が聞こえてきた。
「船でくるお客さんから、島に渡れないから明日のガイドのキャンセルの連絡があって、縄文杉ツアーの予定がなくなっちゃった」
ん、なんですと?
普段の私は超人見知りで、大人数での集まりとなれば完全に気配を消して空気になることが得意なのだが、旅先ではなぜか積極的になれる。
「じゃあ、私を縄文杉に連れて行ってくれませんか?」
そう話しかけるまでにたぶん10秒もなかったと思う。
相手は若干驚いてはいたが、快くOKしてくれた。
翌朝は4時に起きて、宿の女将さんが持たせてくれたお弁当を2つ持ち、いざ屋久杉へ向かう。
登山口まで行くバスを待つ列はすでに待合所を埋め尽くしており、私もその列に加わって、朝ごはん用にひとつめのお弁当を食べた。
運よく2便目のバスに乗り込み、登山口へ到着。
入山手続きをとった。
軌道のうえや手すりのない橋を歩いたり、落ち葉に足を滑らせたりと苦戦しつつも、なんとか世界遺産地域に突入した。
今にももののけ姫やコダマが出てきそうな神秘的な雰囲気。
道中右を見ても左を見ても屋久杉がたくさん生えていた。
日が昇ってきてもなんとなく薄暗くて、常にジメジメと蒸し暑い。
すぐにカメラのレンズが曇って上の写真のようにぼやけてしまう。
だが、ガイドさんによると、ひと月に35 日雨が降ると言われるくらい毎日シトシトと雨が降っているらしい。
なのに、私が登ったこの日は、年に1~2日あるかどうかといわれるくらいレアな、雨が降っていない日だった。
そのおかげか、山の一番奥にある縄文杉には入山から3時間ほどで到着した。
で…でかい。
環境保全のため近くへ行くことはできず、少し離れたデッキの上からの見学だったが、それでもその大きさには圧倒された。
道中たくさんの屋久杉を見たけど、比べ物にならないくらいの存在感。
ほかの者を寄せ付けない迫力のせいか、縄文杉の周りだけ少し拓けていた。
ぐううう~
無事縄文杉を見てホッとしたのか、腹の虫が盛大に鳴ったので、近くの東屋で2つ目のお弁当を食べることにした。
…と、そこへ現れたのはなんとヤクシカ!!
ガイドさんと私が食べているお弁当を狙ってきたらしい。
かわい~♪なんて言ってる余裕はなく、お弁当を死守しながらプラスチックを食べさせたりしないよう逃げ惑う人間。
世界遺産が切なそうな目をしてこちらを見ていたが、山登りでお腹がペコペコだった私は「きみにはあげないよ~」と、持ってきたお弁当を完食した。
お腹も満ちたところで、下山にとりかかった。
行きはとにかく縄文杉を目指して一直線だったが、帰りはガイドさんが屋久島について話しながら歩いてくれた。
日本の南にあるけど、標高2,000mの山があるため、熱帯~高山帯までの植物が自生していること
冬は膝くらいまで雪が積もるため、入山できなくなること
島生まれ島育ちの子供のためにモスバーガーと信号機が立地されたこと
などなど。
そして、そんな話をしていたら、ヤクシマザルが近くにやってきた。
「なでしこさんは本当運がいいね~雨降らないし、ヤクシカとヤクシマザル両方見てもらえる日なんて、なかなかないよ~」とガイドさんは驚いていた。
縄文杉トレッキングの目安は10~12時間と言われているが、入山から下山完了まで7時間くらいで行くことができた。
予定よりかなり早く帰ったため宿の女将さんに驚かれた。
せっかく早く戻ってきたならと勧めてもらったウミガメの産卵地永田浜(ラムサール条約登録湿地)のお話はまたの機会にでも。
あれから数年たったが、私はもう一度屋久島にを訪れてみたいと思っている。
屋久島は周囲が約130㎞で、車を使えば観光しながらでも1日あれば1周できるらしい。
調べてみたらレンタルバイクのお店があるので、今度は原付を借りてゆったりとツーリングしたい。
コースは海沿いを走りつつ、前回訪れたときは行けなった島の西側の林道を上ったり、滝めぐりしたり。
前回とはまた違った発見や出会いがあるだろうと期待して。
参考:世界遺産屋久島について
屋久島は鹿児島県にある島で、島の面積の約2割が世界遺産に登録されています。
出典:https://www.env.go.jp/nature/isan/worldheritage/yakushima/index.html(環境省)
日本で登録されている世界自然遺産である知床(北海道)、白神山地(青森県・秋田県)、小笠原諸島(東京都)にならぶ世界遺産のひとつです。
ところで、屋久島と小笠原諸島、どちらが南寄りかってご存じですか?
この記事を書くにあたり地図を確認したら、予想に反して小笠原諸島のほうが南にあって驚きました。笑
出典:http://www.env.go.jp/nature/isan/worldheritage/index.html(環境省)
少し脱線しましたが、屋久島は世界遺産に登録される10の基準のうち2つを満たしているとして、平成5年に日本初の世界遺産のひとつに登録されました。
✎屋久島が評価された点
(vii)最上級の自然現象、又は、類まれな自然美・美的価値を有する地域を包含する。
(ix)陸上・淡水域・沿岸・海洋の生態系や動植物群集の進化、発展において、重要な進行中の生態学的過程又は生物学的過程を代表する顕著な見本である。
たしかに屋久島は今まで登ったどの山とも雰囲気がちがい、植物や動物が数多く生息していました。
島の9割が山林なのだそうで、安房という島の南東付近に人々の生活が集約されていました。
住民のほとんどは観光関係の仕事をしていると言っていたので、あのとき出会った方々がいまどうされているのか、気になります。
機会があればツーリングしてみたい、と書きましたが、そのときは島の自然を必要以上に傷めないよう、安全でエコな運転を心がけようと思います。
早くその日が訪れるといいなと思います。
参考リンク集
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