ISO9001:経営に正解はないのだから非難される覚えはない(10.1 改善・一般)
■業績悪化は悪なのか
どうもメディアは、溺れているイヌをたたく傾向があるようだ。
イトーヨーカ堂の不採算店舗の閉鎖はあまり好意的に捕らえられていない気がする。
○イトーヨーカ堂 祖業の衣料品事業から撤退、3年で33店を閉鎖
2023.03.09
セブン&アイ・ホールディングス(HD)は3月9日、イトーヨーカ堂の祖業であるアパレル事業からの撤退と、追加の店舗閉鎖を決めた。肌着を除く、婦人、紳士、子供の衣料品カテゴリーの販売を止め、食品中心の事業モデルにシフトする。店舗は地方を中心とする採算性の低い店舗を閉め、肥沃な首都圏市場にフォーカスする。
同日の取締役会で決定したグループ中期経営計画の見直しの中に盛り込んだ。ヨーカ堂は2023年2月期第3四半期時点で営業損失56億円を計上。前年同期の24億円の損失に続き、2期連続の赤字となった。23年2月期期末業績予想は10億円の増益を掲げているが、電気代高騰のインパクトが大きく、今期も引き続き厳しい状況にある。こうした中で、従来よりもさらに踏み込んだ改革を迫られたかたちだ。
同日開かれた説明会の中で井阪隆一社長は、幾度の構造改革を行いつつ結果を出せなかったことについて「事業ドメインとエリアを絞りきれなかったことが構造改革の効果が限定的となった大きな要因」と反省の弁を述べた。
確かに「事業ドメインとエリアを絞りきれなかったことが構造改革の効果が限定的となった大きな要因」は事実かも知れないが、反省というのはどうなのだろうか。
業績というものは計画通りに旨く行くことは保証されているわけでもなく、うまくいったとしても、それが計画の妥当性を保証するわけでもない。
■戦略と臨機応変
戦略は、「こうすれば旨く行く」というシナリオである。したがって、「まずい」と思うことがあれば修正が必要になる。こうした柔軟性がなければ環境の変化に対応できない。
ISO9001:2015の規格要求事項に「10.改善」があり、その最初の項番に以下の記載がある。
10.1 一般
組織は,顧客要求事項を満たし,顧客満足を向上させるために,改善の機会を明確にし,選択しなければならず,また,必要な取組みを実施しなければならない。
これには,次の事項を含めなければならない。
a) 要求事項を満たすため,並びに将来のニーズ及び期待に取り組むための,製品及びサービスの改善
b) 望ましくない影響の修正,防止又は低減
c) 品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性の改善
注記 改善には,例えば,修正,是正処置,継続的改善,現状を打破する変更,革新及び組織再編が含まれ得る。
注記にあるように、「現状を打破する変更,革新及び組織再編が含まれ得る。」ためには事業再編があるだろう。
■グランドデザイン
注意しなければならないのは、その後の成功のためのシナリオである。単に出血しているから止血するだけでは十分ではない。新たな戦略を展開するのであればその説明も欲しい。
メディアの情報だけでは十分ではないし、中期計画はWhatが記載されていてもHowは記載されていない。説明責任を果たさなければ、「それ見たことか」で終わる恐れもある。経営者の責務だと思うが〃だろう。
<閑話休題>
■その他の記事
○イトーヨーカ堂の14店舗を閉鎖へ アパレル事業撤退も セブン&アイ
2023/3/9
イトーヨーカ堂についてはこれまでも不採算店の閉鎖や、セブン&アイ傘下の別スーパーへの移管などで店舗数を減らしてきたが、令和8年2月末までに2割超を削減し93店舗とする。
○イトーヨーカドー、新たに14店閉鎖へ 3年で32店減らし食品集中
2023年3月9日
流通大手セブン&アイ・ホールディングスは9日、傘下の総合スーパー「イトーヨーカドー」の店舗を今後3年間で32店減らす方針を発表した。ヨーカドーとして運営する衣料品事業から撤退し、食品事業に集中することも明らかにした。
https://www.asahi.com/articles/ASR397GB9R39ULFA017.html?ref=smartnews
以上