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ミズグルマ 勇者編

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ジャンル: 小説 SF(ただしサイエンスファンタジー) 舞台をハイファンタジーにとったSFなので読者を選ぶと思います。読みやすさには留意したつもりなので、お暇なら手に取ってみて…
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#気球

水車 第三章 第9話

 参謀長からストップが掛かった。
「あの中を飛ぶ気ですか?」空一面カゲロウだらけだ。あ、むりだわこれ。
「発進中止!掩体へ戻せ!」兵曹の誰かが仕切る。
 命令の先取りは駄目だよ。てか、ウチじゃ普通だけど。コンマ一秒争うような戦闘ばかりしてたからねー、仕切れる奴が仕切るみたいな習慣ついちゃった。うぉっと、ブレスだ。森、盛大に燃えてるなぁ、神樹大丈夫か?て、いきなり火、消えたし。え?真空魔法の応用?そ

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水車 第三章 第6話

 テイコクにいくつかある属国のひとつに元王国騎士団副団長は小領主として、封じられていた。
「王国がテイコク首都を焼き滅ぼしたそうです。勇者様」
 何処をどう掻い潜ってか、勇者は此処まで逃げのび、元副団長の庇護下にあった。
「どのような魔法を使ったのか、建物はひとつ残らず崩壊し、生き残りも避難が許されず一人もいないとか」
 語る小領主の顔は苦渋に満ちている。王国討つべし、すぐにその結論に達した。もと

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水車 第二章 第10話

 一旦停止し、航空隊の戦果を確認し次第、再度進発する手筈になっていた。
 「前方機影、友軍機複数、未識別機、その後方」対空戦用意の号令が消えもしない内に空戦中であるらしき集団は、仮陣地の上に殺到してきた。発見が遅れたのも道理、かなりの低空を全速で飛ばしている。
 味方機が一機、翼を破壊されて陣地の中程に墜ちた。数両の車両が巻き込まれた。パン、パパン。援護の積もりか対空砲が命令を待たず鳴り出す。
 

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水車 第二章 第9話

 試しに火薬式弾頭ボルト何発か持って行きたかったんだけど、陸軍の主計官に渋い顔をされた。魔石とか劣化させちゃうから運送経路まで考えないといけないらしい。
 二十本ぐらいで良いんだけど…。それ位なら、と言う事で保管所に貰いに行ったら水撃銃の口径に合うボルトがなかった。大口径水撃銃も必要か、今回は間に合わないな。
 そんな訳で
 「おちねー」
 ただ追いかけっこしただけで二度目の強硬偵察は終了。うん二

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水車 第二章 第7話

 お誂えむきに吹雪いていた。雪上戦車の立てる雪煙は発見されるのが遅れるだろう。跨乗歩兵は乗せたままで進軍、敵に発見される前に出来るだけだけ距離を稼ぐ。
 敵陣に動きが見えた、兵の影が増え揺れるカンテラの明かりも増えた、怒号がここまで聞こえる。
 「跨乗そのまま、敵陣に突っ込む!」砲が吠える。防柵や掩体が吹き飛ぶ。戦車は壕を乗り越え敵陣に入った。反撃は散発的で何名かの兵が落車したが怪我らしい怪我もな

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水車 第二章 第6話

 お姫様…じゃなくて太子殿下が王都にお帰りになられた。森が存外お気に召されたらしく大分おごねに成り遊ばしていらしたが、橇つき飛空艇の出現で何時最前線になるかもしれない森にやんごとなき御方をお止めするのは、私の首が胴と泣き別れになる事に、と翻心願った。
 編成を変えた。二機で一個分隊、二個分隊で一個小隊とした。三個小隊で一個中隊は変わらず。森には現在二個小隊の二連気球部隊がいる。森人のと合わせて一個

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