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重くても大きくても|ひとりを語る

こんにちは、ひとりを語りたいなちこです。

ひとりで生きる。

それすなわち
「重くて大きなものをひとりで運ぶ覚悟があるか」

…ということだと思う。


2〜3年前、長く付き合った恋人と別れたころの話。

実家に持ち帰る荷物のなかに、大きくて重い仕事用のデスクがありました。それをアパートの2階からおろして車に積み込み、実家についたら2階の自室まで、ひとりで運ばなければいけない。

その恋人は身長が高くて、肉体労働で鍛えた腕をフンっとやれば力こぶができるほど、憎たらしいほど勇ましい体の持ち主だったから、彼に頼めばあっという間だったでしょう。

でも、別れると決まったら他人です。憎まれることはあれど労わってもらえることはない。私もそれを望まないのだから、自分ひとりで運ぶしかありません。

重い机を運びながら、すごく、心細くなりました。


「これからは10キロのお米も、
2リットルのジュース6本も、
この机もなにもかも、私ひとりで運ぶんだ。

もう、頼れる人はいない、
甘やかしてくれる人もいない。

これからは私ひとりで
頑張らなきゃいけないんだ」


さすがに、ちょっと泣いた。不安で心細くなって、じわっと涙ぐむ程度に泣いた。


それから数ヶ月経って、大きな本棚を買いました。玄関に積み上げられた重くて大きな段ボール。


「これは私のものだから、ひとりでやらなきゃ」


家族にお願いすれば、それなりに手伝ってもらえます。

でも、甘えてはいけない。本棚のひとつやふたつ、自分で運んで組み立てられるようにならないといけない。

階段をのぼりながら腕がプルプル、足はガクガクしていましたが、なんとか2階まで運んで本棚を組み立てます。

AとかBとか書いてある板を組み合わせて、ねじで留めたりなんだり……決して難しい作業じゃありません。

でも、組み立てるうちに重くて持ち上げられなかったり、支えきれなくてネジが曲がってしまったり……どんどん悲しくなってきて、じわじわと涙が浮かんできます。


「1人で頑張らなきゃ。
これからずっと、ひとりなのだから。
本棚くらい、自分で作れるようにならなきゃ」


だいぶ、思い詰めていたのかもしれない。
(当時は気づいてなかったけど)

やっとの思いで完成した少し歪んだ本棚に、手元にあった少ない本を並べてみました。

そして真正面に正座して眺めてみたら、さっきまで沈んでいたはずの私はどこかに飛んでいって、

「この本棚がいっぱいになったら、
すごく素敵だなあ…(うふふふふ)」

ニヤニヤが止まらなくなって……情緒不安定か。


あれから何年か経って、心細さはあります。

でも、程よく苦労しながらも楽しく伸びやかに過ごせるようになりました。

お米を30kg抱えて精米所に行った日などは、ひとりでやり遂げた自分がすごく誇らしくて、もう大丈夫だって思えたりもします。



まるで子どもの日記のような、小さな成長ですよね。

それだけ小さなことに怯えたり、小さなことで自分を励ましたりして、私は生きてきました。

ひとりで生きていく覚悟って、
重くて大きなものをひとりで運ぶ覚悟があるのか。

小さいながらも重大、単純だけれど難しいことなんじゃないのかなって、感じます。

経済的自立とか、貯蓄とか、老後とか、そういった物事を筋道立てて考えられるほど堅実じゃない弱点が目立つけれども、うん、そこはもう、うん……。

昨日30キロの米を精米してきたから、これを話したくなったわけです。

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