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手軽でおいしいスコーン作り遍歴

私那智と、日々のお供になったスコーンについて語ろう。


スコーンの受容


私が大学生になった頃だろうか、カフェやコンビニスイーツなど、至る所で「スコーン」の字を見るようになった。特に覚えているのは、友人らの間で「スタバのスコーンが美味しい」という話だった。
噂を聞きつけ、滅多に行かないスターバックスにわざわざ足を運んだのを覚えている。甘いものが得意でない私は、カフェミストとチョコスコーンを頼んだ。初めて食べたスコーンは甘ったるすぎて、口の中にずっと残って、しばらくの間スコーンそのものを敬遠してしまった。世の中はやっぱり甘いものが圧倒的に人気なのだな、とフラペチーノの看板を横目に見ながら帰った。小麦粉で焼くのならパンでよくね? なんて、心の中で突っ込みを入れた。

2020年。コロナが流行し、大学もオンライン講義になって、しばらく家とバイト先でしか生活しない日々が続いた。刺激のない日々を紛らわせてくれたのは、今考えてもYoutubeがあったからだと思う。特に大学生なんか、レポート提出のためにノートパソコンや性能の高いスマホ、ipadを持っていたから、アクセスしやすかったのである。顔を合わせられなくても、友人らとおすすめの動画を送り合ったりして、なんとかこの日々を耐え抜く工夫をしていた。

そんな退屈で悶々とした日々の中、私は大学生の日常を撮影しているパーカーさんの動画を見ていた。
同世代で、我々と同じくリアルタイムで自宅待機しながら大学生をしている彼の姿に励まされたり、共感したりしているところ、1つの動画が投稿された。

ホットケーキミックスと板チョコを使って、スタバ風スコーンを作るという動画である。レシピもびっくりするぐらい簡単だったし、同世代の方がこんな風に自宅時間を楽しく過ごす工夫をしているのだな、と励みになったのを覚えている。
また、当時スタバのスコーンを食べてあまり響かなかった私だが、作り方の手軽さもあり、このレシピを作ってみようと思い立ったのだ。お菓子作りはどうしてもハードル高いイメージがあったが、板チョコ、水、ホットケーキミックス、バターと、ドラックストアでも買いそろえられるレベルのものだった。それにコロナでやることがなかったので、すぐにやってみよう、という気が起きた。


今もよくつくるチョコスコーン

実際に作ってみると、なぜだろう、自分が作ったという感動も相まってものすごく美味しかった。ホットケーキミックスを使うとどうしてもその風味になりがちだが、板チョコが入っているおかげで自然な甘みになっていた。スタバで食べたものよりも、過度な甘みがなくて、パンとも違う味に、すっかり虜になってしまった。
特にスコーンは食べ合わせとして、珈琲や紅茶と相性がいいと言われるゆえんが、実際食べてみてよくわかった。スコーンにはあまり水分が入っていないので、食べると口の中の水分が奪われる食べ物だ。しかも甘みがあるから、苦味のある珈琲や渋味のある紅茶で口の中を潤すと味のバランスがとれてちょうど良かった。なるほど、カフェなどで提供されるのは訳があったのか。その時初めて気が付いた。

スコーンという食べ物の奥深さ


スコーンの魅力に気付いた私は、自作するようになった。パーカーさんの動画でのレシピを自分なりに工夫して、よりよいレシピにしていった。水を牛乳に替えたり、何も入れないプレーンスコーンも美味しいし、紅茶の茶葉を入れても美味しかった。バターを無塩か有塩かで替えたりなどして、好きな味を見つけた。焼きたての美味さは感動的だし、ラップで包んで冷凍保存すれば、別の日の間食にできるあたりが、手軽でよかった。特に私は朝弱く起床時にあまり食欲がわかないのだが、スコーンぐらいのサイズだと珈琲と一緒にぱくっと食べるのにちょうど良い塩梅だった。
周りの人に作って配ったり、来客用につくったりと、手軽なスコーン作りを楽しんだ。

スコーンは本当に奥が深い。生地の状態で焼き上がりが違ったり、こねすぎるよりも折るようにしてまとめるほうが、焼き上がり時に層ができておいしくなった。お菓子作りには無塩バターが推奨されるが、個人的には有塩バターの方が少し後味がさっぱりして好きだった。
それに焼いている時間、焼き菓子の香りが部屋いっぱいに広がって幸せな気分になったし、焼きたてのものを食べられるという特別感が、心にゆとりをもたらしてくれた。

1人暮らしの経験から、様々な人の暮らし方に興味があった私は、大原扁理さんの「年収90万で東京ハッピーライフ」という本を読んだ。その中で、朝ご飯はスコーンにして、だいたいまとめてたくさん作って、2~3日に分けて食べる、という話があって、やっぱり同じ事考える人いるんだな、と感慨にふけったのを思い出す。
その本は当時の私に大きな影響を及ぼし、今でも時々読み返している。

スコーンについてより深く知る


ふと、スコーンってどこの国の料理なのだろうと疑問に思って調べてみると、元はスコットランド発祥の食べ物で、イギリス式とアメリカ式の2つに分かれているという。アメリカ式はたっぷり砂糖を使った甘めのビスケットのようなタイプ(恐らくスターバックスのスコーンや、市販のものはこっちのタイプが多い)
それに反してイギリスは丸くて粉っぽい、素朴な味付けで、ジャムやクロテッドクリームをつけて、紅茶のお供として食べるという。いわゆるアフタヌーンティーのお供に出てくるものだ。日本で見るアメリカ式に近いスコーンはカフェなどのおしゃれな食べ物のイメージだが、イギリスだとパンと代わりのようにぱくぱく食べているという。

一度紅茶がメインの喫茶店で、何の気なしにスコーンを頼むと、苺ジャムと一緒に、小さな小皿に白い塊がついてきた。生クリームだと思った私は、食べてみたあとにその美味しさに驚愕し、マスターに「これって生クリームじゃないんですか??」と無知を晒したが、マスターは嫌な顔1つせず丁寧に解説してくれた。イギリスではジャムと一緒にこのクロテッドクリームをつけて食べるのですよ、と。
クロテッドクリームは、生クリームを加熱しながら凝縮させた、ねっとりしたクリームである。質感はバターに近いが、クリーミーでさらっと食べられるクリームだ。是非気になった人は一度食べてみてほしい。食べてみないと味がイメージしにくい物の1つだと思う。
ただあまりスーパーなどの身近な販売店には置いていないのが難点である(マスターもお店のために遠くから取り寄せていると話していた。関東などの都市圏だと販売しているのだろうか?)

初めてのクロテッドクリーム。
器の美しさにも見惚れる

現在の私とスコーン

今現在も、私は時々スコーンを作る。
ホットケーキミックスでより美味しく本格的に作れるレシピも見つけたし、最近は薄力粉とベーキングパウダーで作った方がより好みの味になることがわかった。
私はぱくぱく食べられるような、シンプルであっさりめのスコーンが好きらしい。珈琲も紅茶も好きな私にとって、スコーンを味方につけると、日々の生活がより色味を増した。
個人経営の喫茶店でも、スコーンがメニューにあると注文してしまうくらい好きだ。いろんな店の、いろんな工夫を凝らしているスコーンがあると想像するだけで、胸がわくわくしてくる。
今の夢は、紅茶好きの家族と、本場のアフタヌーンティーに行ってみることだ。最近コロナの帰省が緩和して、私の住む地方のホテルでも、アフタヌーンティーやホテルのラウンジ営業が再開しているそうなので、ぜひヌン活とやらにしゃれ込みたい。

最後に、スコーンのお気に入りレシピのURLを記載して、終わりにしようと思う。
一つ目は、ホットケーキミックスを使用しながら、本格的な味になるレシピだ。


二つ目は、薄力粉とベーキングパウダーを使った、シンプルながらジャムやシロップなどが合うベーシックなスコーンレシピだ。

是非、あなたのお茶タイムに、スコーンをおともにしてはいかがだろうか。

ここまでよんでくださったあなたに、
心からの感謝を。

那智

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那智
もし気が向いたら応援してくれるとうれしいです やさしくおもしろい文章を ここに置いて待っています あなたの素敵な暇つぶしになるよう 精進していきたいと思います 那智

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