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【料理エッセイ】牡蠣小屋に行ってきたぜ! これはもはやフェスなんだぜ! 地元の中学の先輩たちと楽しい時間を過ごしたよー

 地元の先輩に誘われて、牡蠣小屋に行ってきた。なんでも、地元のイオンの駐車場で期間限定で牡蠣小屋が出店しているらしく、食べるしかないっしょ! という話だった。もちろん、食べるしかないっしょ! なので久々に帰省した。

 そのイオンはかつてジャスコを名乗り、地元民は週末になると必ず行かなきゃいけない教会みたいな場所だった。大学進学を機に上京し、長いこと足が遠のいているうちに看板がイオンに変わってしまったようなのだ。でも、いぎ、現地に立ってみれば、ノスタルジーが込み上げてきた。

 かつて、室生犀星は「ふるさとは遠きにありて思ふもの」と言ったけれど、まさか、その対象がイオンになるような時代が来るとは想像もしていなかっただろう。それでもわたしにとってのふるさとはイオンなのだからどうしようもない。風情がなくとも懐かしさだけは本物だから。

 さて、そんなイオンのどこに牡蠣小屋が出したのだろうと気になり歩いていたところ、駐車場にそれらしきテントを発見。

 中に入ると待ち合わせ時間の十分前に到着し、わたしを待ってくれている先輩が、

「今日は牡蠣を食うぞ」

と、テーブルに大量の牡蠣を並べて敵キャラみたいに座っていた。

 仕組みとしてはほぼほぼバーベキュー。炭火の上に諸々並べていく。先輩は牡蠣を食うことに固執していて、他のものはなんにも注文していなかったけれど、わたしともう一人はいろいろ食べたいよねー、ってことでホタテとかフランクフルトとか追加してしまった。

「牡蠣を食うんじゃないのか?」

 悲しそうに尋ねてくる先輩は、

「もちろん牡蠣も食べますよ!」

と、適当にいなして、グツグツ沸き立つホタテの管理を黙々と進めた。

 さて、ここまでの経緯でお分かりの通り、先輩の牡蠣に対する情熱は並々ならぬものだった。牡蠣小屋で牡蠣を食べる作法はこういうものなんだとネットで調べた情報を饒舌に暗誦してくれた。軍手を両手にはめて、殻から身を取り出す作業を買って出てくれて、わたしたちは感謝しつつ、のんびりとビールを堪能した。

 出来上がった牡蠣はぷっくりとしてて、最高だった。レモンをかけたり、タバスコをかけたり、ニンニクと胡麻油をつけてみたり、いろいろな味変を楽しめるのも最高だった。

 むかし、広島旅行をしたとき、三原で牡蠣小屋があったので入ったことがある。そのとき、初めてそういう飲食店が存在するんだと知って、お祭りみたいで楽しいなぁとしみじみ感動したものだけど、まさか、地元で同じような体験ができるとは!

2015年、奥田民生マツダスタジアムでひとり股旅スペシャルを開催したとき、これは見に行かなきゃと広島旅行をしたのである

 先輩たちと昔話で盛り上がれたのもよかった。みんな、同じ中学で、ジュニアリーダーという活動を一緒にやっていた仲間同士。ちょっと前に疎遠だった関係が復活し、定期的にBBQなんかをやってはいたけれど、ぜんぶ自前だとなんだかんだで忙しく、ゆっくりとしゃべる余裕はあまりなかった。

 最年少のわたしで31歳なので、先輩たちも会社などでそれなりのポジションになりつつある。これまでは現場でプレイヤーとして働いてきたというのに、突然、辞令でマネージャーに抜擢されなんて言っていて、嬉しいと同時に果たしてうまくできるだろうかという不安でストレスが半端ないということだった。

 もちろん、そういう悩みに手っ取り早い解決策なんてあるはずがない。だけど、困ったことになったら、また、みんなで集まって美味しいもの食べましょうね! と笑い合えるだけで救われるものがあるんじゃないかとわたしは思う。少なくとも、20年弱の付き合いになる利害関係のなさは貴重も貴重。いまさら、ちょっとしたことで壊れたりしない人間関係があるとわかっていることは心の保険になるだろう。

 帰りはお酒を飲まない先輩が駅まで車で送ってくれた。車内で次は何を食べに行こうかと相談する時間は相当に至福であった。

 とりあえず、わたしは、

「静岡のさわやかのハンバーグ食べてみたい!」

と、主張しておいた。また、みんなで集まれる日が待ち遠しい。こうやってこれからも何十年と仲良くできたら素敵だよね。そのために必要な努力を続けていかなくては。そんな決意を胸に帰りの電車でこの記事を書いている。

 



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