小ネタ#18「美術系予備校生・・受験最終は東京藝術大学デザイン科、難関な3つの試験:デッサン・平面・学科&最後に面接。1次選抜!」
一次選抜のデッサン、なぜか芸大絵画棟1階の石膏室のジョルジョ像前に人だかりが!!」
「ジョルジョ」という石膏像は、全身像もあるがこの下の写真のような胸部の像が一般的。我ら美術系受験生だと正式名の「聖ゲオルギオス」とは呼ばずに単にジョルジョ。ちょっと神経質そうな顔つきで、あまりデッサン映えしない石膏なのだ。
東京芸大の絵画棟の石膏室というのは、石膏像だらけの展示室。ルーブル美術館にあるニケの像やガッタメラータの騎馬像などの大きい像もあったりしてなかなか。それらが台の上に並べられ、そして受験生が像を囲んでみんなして下から見上げていたのはジョルジョ像だったのだ。な・ぜ・か!? はい、受験のモチーフがジョルジョだったから。あれれ・・どうしてすでに分かっているの?
美術系予備校の講師は芸大の助手たちが多い。新美はオール芸大の助手だった。でね、試験の前日、試験会場の教室に石膏像を並べるのはその助手たちなのだ。並べた後で予備校にやって来て「明日はジョルジョだ!」と学生に伝える(夜)。だから試験当日、集合場所の石膏室のジョルジョ前に受験生たちが集まるというわけ。
その光景を見て「意外だわ、みんなジョルジョが好きなのね!」と思ったあたしは大勘違い。試験会場に入室して「なんだ」と納得。私的にはモチーフ判明が当日で良かったと思う。だって早く知ってたら気が滅入る時間が長くなっちゃうから。
一次選抜の鉛筆デッサンは6時間。昼休みを挟んでなかなかの長丁場。1週間くらい時間をかけて行うデッサンと受験デッサンでは目指す終点が違うので、別に6時間目一杯描かなくても良いのだ。T美の試験では午前中に描いたデッサンを全て消して午後の3時間で一気に仕上げた・・ということも可能なのだから。
とまあいう感じで、実をいうと午後の1時間ほどで飽きてきちゃったのだ。どうしよっかなあ・・と思いつつ、まあトイレでふけてくるかと思いつつ、挙手して「トイレ」と試験監督にお願いする。トイレのそばまでついてきたその試験監督、うちの予備校の講師である。「まあ今の感じでいいんでない」と小さな声かけあり。
トイレに入って和式だからしかたなく床に座り込んで壁にもたれて少々眠ることにした。たぶん20〜30分後にトイレから出て会場に戻った。「おまえ何してんだ」みたいな顔つきで試験監督にジロッと見られたが、気にしない気にしない。
その後もう少しだけ描き足してあとは放置で無事終了。ある意味、モチーフが石膏像で良かった。相方なんか、油絵学科の一次試験に出たのが、机の上にケント紙が置いてあり、それを曲げたりして(好きにしていい)デッサンし、その背景に風景を入れろという出題。これは大変。
藝大の入試改革は「1974年」野見山暁治氏によってなされ、運の悪いことに相方は、ま・さ・に、その1974年の受験生だった。
実は芸大(美術系予備校生にとって「芸大」は東京藝大のこと。愛知芸大は「愛芸アイゲイ」、京都市立芸大は「京芸キョーゲイ」、大阪芸大「大芸ダイゲイ」、つまりただの「芸大」は東京藝大のこと)の入試、現在はもっと変化していて、デザイン系では1次選抜のデッサンが2種類から選択、2次選抜には平面と立体の2つ。うわぁこれも大変だわ。
上記のサイトでは合格者の作品のPDF掲載があって、なかなか参考になるのではないかと思う。以前は合格者の作品は「秘密モード」だったのでこれは凄い!!是非ご覧になってみてください。
あと同じサイトの「Q&A」もなかなかだ。結構詳しくきちんと質疑応答が行われている。例えば、
Q:「実技の使用道具の基準があいまいだと思うのですが?」
A:「平成25年度入試より、 一次の鉛筆写生の使用道具を、「鉛筆写生に必要な用具一式」とし使用道具の基準を広げることで、使用を注意される基準が試験室・監督官によって違うといった懸念に対処し、より公平・公正な試験を実現できるように配慮しました。今後も基準の徹底を図っていきます。」
Q:「試験室ごとに石膏像の汚れが違うことについてどう考えているのでしょう」
A:「石膏像に限らずモチーフの状態については、監督者が全試験室を見回って公平に実施できるよう確認しています。公平性を損なうと考えられるモチーフは交換を行い対処しております。」
みなさんは「えっ?」と思われるかもしれないが、けっこう石膏像って汚れていて真っ白でないんです。汚れなのか影なのか認識できないのは・・ちと問題で不平等。なるほどねえ・・の、Q&Aでした。