山本文緒さんを想いながら<ばにらさま>
おどおどしい、というのだろうか。
大げさかもしれないが、背中が“寒っ”とするような女性の生き方が多く描かれている短編集である。ネット、家族、友人とどこかつながっているようで離れている日常を見事に映し出しているのだ。
最後の短編である「子供おばさん」は、その中で異色を放つ。
ひとり中年女性の生き方を書いた作品で7年も会っていない友人が亡くなり、私にあっと驚く形見分けを遺したという内容である。
このような生き方もあると山本さんなりのメッセージのような気がして落ち着きを取り戻した。
「子供おばさん」が所収されたのは、2012年2月。
この作品を執筆された際に著者の山本さんは死ぬことを考えていただろうかとふと思った。
お悔み申し上げるとともに、これからも山本さんの作品を少しずつ読み続けていきたい。
書き続ける楽しみを感じています、その想いが伝われば嬉しいです~