ミステリアスって意外と… <あなたはここにいなくとも>
あなたはここにいなくとも 著者:町田そのこさん
町田そのこさんの小説は、穏やかなところとミステリアスが混在しているように感じます。そのミステリアスって、意外と記憶に残ったりするものですね。😄
さぁ、全五編のご紹介です!
いろんな事情で今はここにいない人。でも見守ってくれていた人の短編が続いたと思ったら、おっと!憎しみを感じるような“ここにいない人”があらわれた。
「くろい穴」という短編は不倫相手に頼まれて渋川煮を作ることになったわたし。祖母直伝の渋皮煮を作る過程でなぜこれを作っているのだろうか。奥さんは私たちの関係に気がついてわざとこのようなことをしたの?とグルグル頭を駆け巡る。
読んでいる私もなぜそんなことをするの、やめなよ。と思っていると、虫食いの栗が一つ登場する。
この栗はどこにいくのか。そして、悪意を感じるべきは“ここにいない人”ではなく、目の前の相手だった。
とはっと気づくシーン。
ここにも、祖母の想いが込められていると思った。
少しずつ角度を変えて、自分の存在と相手の想いをあらわす5編の物語。
ゆるやかにこころに響くこと、間違いなし!
書き続ける楽しみを感じています、その想いが伝われば嬉しいです~