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📕17 好きな人のために

持地佑季子著 クジラは歌をうたう


読了日

6/30


👤著者情報👤

持地佑季子。
福島県出身。脚本家。法律事務所勤務を経て、2008年第20回フジテレビヤングシナリオ大賞・佳作受賞。



📕内容📕

4ヶ月後のクリスマスに結婚を控える拓海は、久しぶりに高校の時に睦月と砂浜に座って朝日が昇る水平線を眺めた夢を見た。

目を覚ました拓海は睦月のブログを開いた。すると、ブログが数時間前に更新されていたことに拓海は驚く。

なぜなら、届くはずのない睦月からの12年越しのメッセージだから。

拓海は誰が何のために更新したのかという謎を解くために旧友を訪れ調べ始める。

切なくて儚い青春物語。



👤登場人物👤

宮平拓海:主人公。睦月に振り回される。

橘睦月:ヒロイン。拓海の弱みを握り、自分のやりたいことに付き合わせる。

杉浦梢:拓海の婚約者。

知念正吾:拓海とは幼馴染み。父親の会社を引き継ぐ。

奥洋介:少年野球のコーチ。拓海とは幼馴染み。



💡知識💡

ニライカナイ:

琉球で古くから伝えられている神の世界を意味する言葉。

沖縄にはパワースポットや神秘的な場所が多いことは有名で、海のはるか向こうや、または海底にあるとされている、理想郷のことを指す。


ボイジャー号のゴールデンレコード:

1977年に打ち上げられた2機のボイジャー探査機に搭載されたレコードである。

地球の生命や文化の存在を伝える音や画像が収められており、地球外知的生命体や未来の人類が見つけて解読してくれることを期待している。

現在も宇宙の空間を飛んでいる。


ティダ :

沖縄の方言で太陽を意味する。


クジラは歌をうたう:

クジラは、遠くにいる仲間と会話をするために、人間の耳には聞こえない低周波の音を出している。

しかし、最近、短い音や長い音を、規則的に繰り出して出すことが明らかになっており、そのため歌を歌っているとも言われている。

特にザトウクジラの歌は有名で、年ごとに流行歌があり、そのメロディは、海域ごとに異なると言われている。

そして、クジラが歌うのは、好きな相手への求愛のためとも言われている。だが、その真相は未だ謎のままである。




🍀言葉🍀


私たちは必ず、今を過去にして、未来を生きていかないといけない。


時というものは、自分の意思とは無関係に、無情に過ぎていく。






📕1%のかけら📕


クジラは歌をうたうというこの小説のタイトル。

最初は「不思議なタイトルだな」って思った。

でも、読み進めていくうちに、この作品に引き込まれていき、最後にタイトルの意味を知り、涙する作品。

今すぐに映画化してほしいと思う。

この小説で2人はクジラを観に行く約束をしていた。

クジラは歌をうたうということを知り、生命の神秘を感じた。

ホエールウォッチングツアーに参加して、クジラのダイナミックなジャンプする姿や呼「ふん気」と呼ばれる呼吸シーンを観てみたいなと感じた。




睦月の最後のブログのタイトルの

『私もクジラのように、君のために歌おうか』

『クジラは、好きな相手のために、歌をうたう生き物なんだ』

つまり、このタイトルは睦月が拓海に当てた睦月なりの求愛の証=ラブレター。



好きな相手に歌をうたう。

僕もそんな人生を送りたいと思わせてくれる作品だった。

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