📕12 永遠に終わらない戦い。
高嶋哲夫著 首都感染
読了日
6/15
著者
高嶋哲夫
1949年、岡山県玉野市生まれ。慶應義塾大学工学部卒業。同大学院修士課程修了。日本原子力研究所(現日本原子力研究開発機構)研究員を経て、カリフォルニア大学に留学。数々の賞を受賞。
📕内容📕
20××年6月。中国でサッカーW杯が開催。世界中から40万人のサポーターが中国を訪れている。
そんな中、雲南省の村で強毒性の新型鳥インフルエンザが発生し、中国政府はこの事実を隠そうとする。しかし、感染が拡大し、瞬く間に世界中に広まる。致死率は60%のある21世紀の黒死病。
日本での感染拡大が起こらないように瀬戸崎優司を中心に対策を練る。
👤登場人物👤
瀬戸崎優司:黒木総合病院内科医。もともと、WHOのメディカル・オフィサー。黒木慎介とは友人。
瀬戸崎裕一郎:内閣総理大臣。優司の父。
仲原由美子:黒木総合病院内科の看護師。
黒木太郎:黒木総合病院経営者。院長。
黒木慎介:瀬戸崎優司とは友人。黒木太郎の息子。東都大学医学部准教授。インフルエンザ・ワクチンの研究をしている。
王光祐:中国からの留学生で、博士課程の学生。黒木慎介の右腕。
💡知識💡
バタフライ効果
極めて小さな現象が、関係なさそうなところで大きな影響を与える。
(この本で言うなら、雲南省という小さな街で起こったウイルス感染が、短期間の内に全世界に広がっていった。)
🌟言葉🌟
人間なんて無力なもんだ。目にも見えない、単独では生物でさえないウイルスに簡単に生命を吸い取られる。身体中を乗っ取られて、細胞を溶かされて死んでいく。
ウイルスは人を区別するわけじゃない。等しく平等だ。隙をみせた者が捕まる。
どんなに注意しても、どこかでミスは起きる。針先ほどのミスも数秒後には鉛筆になり、バットになり、人が通れるくらいの穴になる。最初のミスを責めたり詰るのではなく、ミスを共有し、検討してよりミスのない方向に導く。
時の流れは人を変え、社会を変えていくのだ。
ウイルスと人間。永遠に終わらない戦いだ。
人類の敵は人類ではなく、肉眼では見ることも出来ない、意思も持たずただひたすら自己の増殖を続けるウイルス。
🍀感想🍀
今現在のコロナ禍の状況と非常に似ているクライシス小説。
ウイルスが発生した際の空港や港湾の水際対策を、国内で感染者が出た場合、外出自粛要請や最後の手段としてロックダウン(都市封鎖)をいかにスピーディーに実行に移せるかが感染拡大防止の鍵を握っている。
そして、その大胆な判断を決断するリーダーの覚悟、勇気、責任が求められる。国民の命を守るのか、日本経済を守るのか。
ここ最近日本国内での感染者は減少傾向にある。しかし、東京では未だに感染者が多い。
まだ世界では感染者数は増加している地域もある。
日本でも世界でも予断を許さない状況が続いている。
いつ、どこにウイルスが潜んでいるかはわからない。
自分が感染しないためにも、他人にうつさないためにもマスク着用や手洗い、3蜜を避ける、ソーシャルディスタンスをとるなどの対策を気を緩めることなく行っていきたい。
そして、いつか必ずまたウイルスとの戦う日が来る。ウイルスも生き残るために日々進化している。その時にどう対応していくか。今回の経験で多くの学びを得た。この教訓を活かす対策を今後練っていく必要がある。