リブートされたスマナサーラ長老の瞑想ガイドブック『ブッダの瞑想レッスン』+関連書籍
世紀をまたぐロングセラーの全面改訂版
スマナサーラ長老の「新刊」をご紹介します。最近のことばを使えば「リブート版」と呼ぶのが相応しいかも知れません。古い会員さんの中には、前世紀の1997年に新書サイズのハードカバー4部作として頒布された「シリーズ自分づくり 釈迦の瞑想法」全4巻を記憶されている方もいらっしゃるでしょう。
スマナサーラ長老の伝道活動が本格的に知られる以前で、まだまだヴィパッサナー瞑想や慈悲の瞑想も馴染み薄かった時代に、同シリーズをきっかけにして協会の行事に参加したという方も多いかも知れません。故・根守良明さんの協力で編集された同シリーズは世紀をまたいで多くの方に読みつがれてきましたが、元になった法話から四半世紀以上が経過しており、当時の世相やニュースを反映した例え話などには、現代の読者には伝わりづらいものが増えてきました。
数年前に四冊とも品切れになったこともあり、スマナサーラ長老に全面的に内容をリライトして頂き、現代にふさわしい形にアップデートした合冊本として、タイトルも『ブッダの瞑想レッスン 修行入門一歩前』と改めて、旧版と同じく国書刊行会より再刊される運びとなりました。コロナ禍前から始まった編集作業は難航を極め、結局のところ新刊10冊分くらいの労力を投じた気がします。その分、2022年に改めて上梓するに足るものにブラッシュアップできたと自負しています。
非常に謙虚な題名になっていますが、本書の後半部分で紹介される「気づきの実践」の上級編、さらに解脱・涅槃に達する道筋である「七覚支」の実践については、本書の解説に勝るテキストはなかなか見出しにくいと思います。旧版を既読の方も未読の方も、ぜひお読みいただければ幸いです。
(初出:パティパダー2022年7月号編集後記)
もう一冊の定番瞑想ガイドブック
2023年1月現在、リアル書店で流通しているスマナサーラ長老の瞑想ガイドブックは『ブッダの瞑想レッスン 修行入門一歩前』のみですが、2004年の初版から増補改訂を繰り返してきたロングセラー『ヴィパッサナー瞑想 図解実践(自分を変える気づきの瞑想法 第4版)』もamazon.co,jpで購入できます。「慈悲の瞑想」と「ヴィパッサナー瞑想」を基礎から解説する構成は『ブッダの瞑想レッスン』と共通しますが、実況中継しながら食べる「食事の瞑想」、自宅で簡単にできる日常生活を瞑想に変える「実況中継レッスン」といった応用編、瞑想に関するQ&Aなどが収録されており、イラストも豊富で瞑想入門として一般の方にもおすすめしやすい、痒いところに手の届く一冊です。瞑想指導の順番は、日本テーラワーダ仏教協会YouTubeチャンネルで配信されている瞑想入門ビデオの内容に準拠しています。
新書と文庫で刊行された瞑想ガイド
『現代人のための瞑想法』は、2007年にサンガ新書「役立つ初期仏教法話」シリーズの一環として刊行された瞑想入門書です。上述の『ヴィパッサナー瞑想 図解実践(自分を変える気づきの瞑想法 第4版)』と共通点も多いですが、ビジネスマン向けの体裁なので同書に比べると少々理論的で硬質な印象を受けるかも知れません。
2010年に出た文庫書き下ろしの瞑想入門書です。ほかの類書と同じく、慈悲の瞑想とヴィパッサナー瞑想の理論とやりかたを紹介。1章と5章で瞑想に関する仏教心理学の理論をかなりしっかりと説明してあります。
~生きとし生けるものが幸せでありますように~