音楽を愛し愛される人、キムテヒョン
「音楽の力」という言葉はとてもベタな表現ではあるが、やっぱりどうしても使いたくなってしまう表現だ。
音楽を愛している人は音楽に愛される。
深いところで音楽を楽しむ人は、まるで音楽を身に纏ったようなパフォーマンスをする。
時には格好良さとなり
時には美しさとなり
時には妖艶さともなる。
キムテヒョンはかなり音楽に愛されていると思うし、深く音楽を愛している。
そのことが伝わってきたweverse magazineを元に、私なりのテテちゃんへの解をここに綴ろうと思う。
Vというアーティスト
1つの楽曲を作り上げ、パフォーマンスを準備することを総じて「アウトプット」とするならば、その前には必ず「インプット」が必要で
これはただ音楽を見たり聞いたりするだけだと、忘れてしまいがちなこと、あるいは知らないことだったりする。
考えてみれば当たり前のことで
何かを作るためには材料が必要なように、何もないところから作品を作るとしても、アイディアを引き出すためにはそのきっかけなりが必要なのだ。
キムテヒョン、Vは「自分の魅せ方をよく分かっている人」という印象だけれど
どのくらい自分を研究して、沢山の「かっこいい人」の表情をインプットして構築された今なのかと思うと、陰の努力が想像できる気がする。
そしてそれは、今回も同じようだ。
Dynamiteのときがそうだったように、Butterでもインスピレーションを受けたアーティストがいたか、と言う質問に対しこのように答えている。
まずビリー・ジョエルが頭にありましたし、ミュージック・ビデオを撮る時はアーティストを一人考えるよりは、映画を一本考えます。ステージをする時も、ある曲は映画『レザボア・ドッグス』のような作品のイメージを思い浮かべる時もありますし。「Butter」の時には、ハイティーン映画をたくさん観ました。ミュージカルも観ましたし。そうしているうちに、YouTubeで偶然、ジョニー・デップがずいぶん前に撮った青春映画のシーンをいくか編集した動画を見たんですけど(確認した結果、映画『クライ・ベイビー』)、そこに出てくるイメージがすごく強烈でした。そういう姿を「Butter」で活かしました。
(引用:weverse magazine)
BTSのパフォーマンスの中でのVの存在はスパイス的なものだと私は思っている。
ダンスリーダーやメイボーカルではないが、確実に楽曲の表情を担当しているように感じる。
そんな彼がMVを1つの映画と捉えていること
それが本当に素晴らしくて、どおりでBTSの作品は全てに於いてハイクオリティな訳だと痛感した。
私はテテちゃんを表現力の天才だと思っていた。
でももしかすると、「自分磨きマニア」の方が合っているのかもしれない。
努力派というよりは感覚派のように見えるが、自分磨きに関しては時間を忘れて取り組んでいる様子が想像できてしまう。(あくまで妄想)
こんなふうに考えてみると、パフォーマンス動画を1つ見るだけでも見え方は変わってくる。
音楽は世界共通語
テテの表現力の秘訣は上記で述べたインプットと自分磨き以外にもある。
それは音楽を愛していること。
音楽に敬意を払って接しているからこそ、一つのフリや音に付ける表情一つ一つにこだわりが生まれるんだろうと推測している。
特にそれが感じられたのは、「自身が聴いている曲の中でARMYに伝えたい曲はあるか?」と尋ねられた時の回答だった。
うーん…、最近はアークティック・モンキーズの「No.1 Party Anthem」です。僕はこの曲を聴く時…、何だか胸にこみ上げるものがあります。僕は普段はロックバンドの音楽をたくさん聴く方ではないんですけど、この曲はいつの頃からか、バンドの演奏が与えてくれる感情が胸にすごくぐっと来たんです。歌を聴きながら、本当にすごく鳥肌も立ったり、何だかじーんときたりもして、本当にいろいろな感情を抱きます。それだけでなく、この曲を聴いた瞬間に、本当にかっこよく生きたいなという思いまで込み上げてくるほどです。(中略)
実は、この曲がどんな曲なのかはよくわかりません。この曲の歌詞もよく知りませんが、メロディやバンドの演奏だけでも、僕に与えてくれる感情は本当に確実なものだと思います。(引用:weverse magazine)
この回答がとても素敵なのは、言葉にならない感情のリアルさを具体的に言葉にしているところだと思う。
「胸に込み上げるものがあります」
と言いつつも、それが何かは分からない。
でも「本当にすごく鳥肌もたった」
「なんだかじーんときた」
このような感覚は、音楽が好きな人なら誰でも一度は感じたことがあるものだろう。
音楽が心に与える作用は、いつも言葉にできないような心の震えだと思う。
だからrock youの直訳は「揺らす」「心を揺り動かす」の意味になると勝手ながら解釈している。
私はバンタンに沼落ちする前までロックバンドが好きだったため、この感情を夏フェスに行く度に感じていた。
音楽をする人たちの多くは「人の心を少しでも動かしたい」という気持ちを少なからず持っているんじゃないかなぁ。
ちなみにこの「No.1 Party Anthem」という曲、ぜひ一度聴いてみて欲しい。
夏フェスの夕方頃にビール片手に聴きたくなるような、ゆるりと無防備に広がるサウンドが魅力的で、、、
私は一度聴いた瞬間、虜になった。
「スロー」で楽しむ音楽
そして最後にもう一つだけ、この回答の好きな点を挙げたい。
正直、ここが私の1番好きなポイントだ。
テテちゃんはこの曲を、歌詞を訳さずに聴いているというところ。
それが本当に愛おしいと思った。
好きな曲は和訳を見してまったりすることが多いと思うが、キムテヒョンはこの曲に心を動かされた上で、あくまでも音楽を音楽として愛している。
少しバンタンと離れてしまうが、
俳優の菅田将暉がある番組で音楽について語っていた際に、
「今の人は初めて聞く曲でも最初から歌詞を見ながら聞いてしまう(音楽アプリで聞くと簡単に歌詞が見れてしまうため)」という話をしていたのを思い出した。
それが良いか悪いかではなく、なんでも生産性を求める今の時代に「ファスト」ではなく「スロー」で音楽を楽しむことが、音楽を愛し音楽に愛される秘訣なのかなぁと漠然と考えるきっかけとなった。
なんだか後半にかけて、私の音楽感をただダラダラと語るだけの投稿になってしまった。
でもこうやって、テテちゃんの話を取り上げているつもりがいつの間にか音楽の話になってしまうのは
結局キムテヒョンという人が音楽を愛しており、音楽に愛されている人だからなんだと思う。
キムテヒョンを語る上で、音楽の話をすることは、彼が音を楽しみ続ける限り必然なのだ。