「社長なんて偉くも何ともない。課長、部長、包丁、盲腸と同じだ。要するに命令系統をはっきりさせる記号に過ぎない。」平等-「仲間」の哲学、本田宗一郎を中心に

本田宗一郎は、社内における平等を何よりも大切にしていた。彼は、社長であっても、一般の従業員と同じ技術者の一人に過ぎないと考えていた。

本田は、社長という地位を偉いものだとは考えていなかった。彼はこう語っている。

「社長なんて偉くも何ともない。課長、部長、包丁、盲腸と同じだ。要するに命令系統をはっきりさせる記号に過ぎない。」

社長という役職は、組織における序列を明確にするための単なる記号に過ぎないと本田は考えていた。重要なのは、一人一人の従業員が持つ能力や個性なのだ。

本田は、皇居での勲一等瑞宝章親授式に出席する際、「技術者の正装とは真っ白なツナギ(作業着)だ」と言って作業服で出席しようとしたというエピソードがある。周囲の説得にもかかわらず、本田は「俺は白のツナギを着たいんだ」と強く主張した。これは、技術者としてのプライドを大事にしている本田の姿勢を表している。

また、社長退職後、全国のホンダディーラー店を御礼参りした際、整備担当者が油まみれの手で握手を求めたことがあった。整備担当者は手を洗いに行こうとしたが、本田は自らも技術者であったため、喜んで油まみれの手での握手に応じたという。このエピソードからも、本田が従業員との平等を大切にしていたことが伺える。

本田は、人間の価値についてこう語っている。

「人間というものは、面白いものであり、不思議なものであり、必要のない人間というのはいないのである。」

一人一人の従業員が持つ個性や能力を尊重し、平等に扱うことが大切だと本田は考えていた。社会的地位による差別をせず、全ての人間に価値があると信じていたのだ。

本田宗一郎の「平等」の哲学は、社内の上下関係を超えて、一人一人の従業員を尊重する姿勢から生まれたものだった。社長という地位を偉いものだとは考えず、技術者としての誇りを持ち続けた。そして、全ての人間に価値があると信じ、従業員一人一人との平等を大切にした。この哲学こそが、本田技研工業の強さの源泉となったのである。



>スタートトゥデイの考える平等、平等の結果をもって平等を作る
「平等」を制度にすると「年功序列」という制度になり、古い会社の制度のように思えるかもしれない。しかし、比較的若い企業であるスタートトゥデイは実力主義という考えを取らず、給与に格差を設けていない。

「僕はこんなに頑張っているのに、なぜ、営業成績が半分のやつと同じ給料なんですか」そう言って来る社員もいました。僕はこう言い返すんですよ。「お前がやるべきことは、自分の成績だけを伸ばすのではなくて、そいつの成績をお前と同じにしてやることなんだよ」。「それが会社だし、そういう社会を実現したくないの?」って。1人だけ給与水準あがって、豊かになっても、周りの人が貧乏で苦しんで、それでいいのか。我々が目指すのはそういう会社でも社会でもない。評価は、『人を幸せにした量』です(笑)。よほどのことが無い限りこのまま続けると思います。

前澤は理想的なチームについて『キャンプ』にたとえて、こう言っている。『友達とキャンプに行ったときには、みんなノルマを競うのではなく、自分の得意なことを率先して、みんなが楽しめるようにするでしょ。キャンプ場近くの川で魚が釣れれば、みんなで均等に分け合う。会社もそうあって欲しい』と

僕は本来、人間は競争するためじゃなくて、自分が楽しんだり人の役に立つために働くと思っています。

ただ、過度に競争が社内のシステムとして存在していると、隣の席の人に勝つために働くようになってしまう。

だから、なるべく社内から競争を排除することによって、みんなに本来の働く目的を再確認してほしいんです。

金銭以外に与えられるものがあるはずだ。経営者は常にそのことを考えなければならない。なぜなら与えられる金銭には上限があるのだから。

金銭により人の心を操るような報酬制度を京セラはとっていない。
稲盛和夫


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