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経営者たちの哲学

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#稲盛和夫

自燃性 -「主体性」の哲学、稲盛和夫を中心に 3/4

自燃性 -「主体性」の哲学、稲盛和夫を中心に 3/4

稲盛和夫は、「自燃性」を主体性の重要な要素だと考えていた。「自燃性」とは、自ら情熱を持って行動を起こし、自分自身を高めていく性質のことを指す。

この章の冒頭にも紹介した稲盛自身が若い頃に実存的な悟りを開いたエピソードがある。当時、憧れて入った会社に嫌気がさし、辞めようかと考えていた。しかし、彼は、状況をどう受け止めるかは自分次第だと気づいたのだ。周りに流されるのではなく、自ら主体的に意味付けを行

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分解思考 -「主体性」の哲学、稲盛和夫を中心に 4/4

分解思考 -「主体性」の哲学、稲盛和夫を中心に 4/4

稲盛和夫は、主体性を発揮するために「分解思考」の重要性を説いていた。「分解思考」とは、大きな問題を小さな要素に分解し、一つ一つ解決していくアプローチのことを指す。

稲盛はこう語っている。

「できない」ものを「できる」と引き受けて、実際に「できる」までやり続ける。

これは、「未来へ向かって自己の可能性を追求し、自分自身を創造していく」という「自燃性」の精神に基づいている。しかし、可能性を開くに

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ジブンゴト化 -「主体性」の哲学、稲盛和夫を中心に 2/4

ジブンゴト化 -「主体性」の哲学、稲盛和夫を中心に 2/4

「そういう努力が一番大事なんだ」

稲盛和夫は、従業員一人ひとりが自分の仕事を「ジブンゴト化」することの重要性を常に説いていた。「ジブンゴト化」とは、会社の問題を自分自身の問題として捉え、主体的に取り組むことを意味する。

JAL再建を任された際、稲盛氏は伊丹空港を視察した。その時、カウンター勤務の若い女性社員が月2千円のコスト削減効果を発表した。金額の少なさに周囲は困惑したが、稲盛氏は「そういう

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「主体性」の哲学、稲盛和夫を中心に 1/4

「主体性」の哲学、稲盛和夫を中心に 1/4

言われたことをきちんとこなすことが大事だと考える人もいるかもしれない。しかし、稲盛和夫はそれでは足りないと言うだろう。稲盛和夫は、京セラを創業し、世界的なメーカーに成長させた経営者だ。彼の経営哲学の根幹には、「主体性」を重んじる考え方があった。従業員一人ひとりが主体的に判断し、行動することを何よりも大切にしたのだ。

稲盛の「主体性」重視の姿勢は、実存主義的な気づきから芽生えた。稲盛は若いころ、憧

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