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ひな祭り

3月2日の夜になって急に、家内が、押し入れから飾り物を出してきた。ひな人形である。

ひな人形といっても、雛壇に人形一式を飾るわけではない。2体一組の、簡易な飾り付け人形だ。

夜遅くに、走って行ったのだ。狭い我が家の、押し入れの方に。何事かと思ったが、少し、息を切らして帰ってきて、テーブルに並べ始めた。


並べ終わって、一言。

あー、間に合った。1日だけ。


写真に、食べ物が添えてあるところが、スナッキー一族(注1)ならでは、である。

時節柄の食べ物では、あるが。


最初は、こう、並べていた。

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だが、こう、並べ直した。

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男雛と女雛の並びが、右左、逆だったという。

それも、菱餅の絵で確認するという、軽さ。

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我が家は、いつも、ギリギリファイターなのである。


翌日、ひな祭りの当日の夜、前日には先輩の家に転がり込んでいた次女が、帰宅してきた。

次女は、ひな人形には目もくれず、黙々と晩御飯を、録画のドラマを見ながら食べ、ほどなく自室に戻り、仮眠をとった。何でも、バイトのシフトが、クローズらしかった。


私が、言いたいのは、こんな事ではないのだ。私が言いたいのは、これなのだ。

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どうしたら、こういうふうに、雑然と、出来るのだろうか。ここまできたら、これは、一種の才能だろう。

3月4日、帰宅したら、ひな人形は、既に、片付けられていた。

ところが、元の場所には、無かった。

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家内に、言った。

片付けたの?

すると、家内は、満面の笑顔でこたえた。

そうよ。えらいでしょ。

でもさ、場所、違うところに、片付けたでしょ。

うそ。そんなことは、ないわよ。

そして、押入れに行った家内は、既に、自分が片付けた場所を、忘れていて、つきとめるのに、時間がかかった。


その様子を見ながら、心の中の、リトルkojuroが、囁いた。

来年は、また、3月2日あたりに、ひな人形は、どこかなんて、ディスられながら、問い詰められたりして。

っていうか、恐らく、それは、宿命だな。


でも、家内は、少し、反省したのかも知れない。

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もう、端午の節句の準備をしていた。

心の中の、リトルkojuroが、ちょっと呆れ顔で呟いた。

それにしても、これは、ちょっと、早すぎは、しないか.....。



我が家は、家内が、上機嫌であれば、平和である。

これで、いいのだ。




(注1)スナッキーとは、スナックや間食が好きな人のことで、私が勝手に作った造語である。そして、スナッキー一族とは、スナッキーである人の、総称である。


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