くしゃみ
私は、花粉症である。そして、常時、鼻炎気味である。つまり、鼻がむずむずしている期間が、一年中、結構長い間、ある。
それも恐らく原因だと思うのだが、ときどき、くしゃみをする。人よりも、その頻度は、多いのだと思う。
だが、くしゃみが、出そうで出ない時がある。
そういうとき、太陽を見るようにしている。太陽がなければ、部屋の電灯でもなんでもいい。明るいものを見ると、くしゃみが出やすくなる。
なんでも、ネットで調べたら、これを、光くしゃみ反射というらしい。むかしからこの事実は、自分自身は、知っていた。誰が、どのように調べたかは知らないが、だいたい、4分の1の人が、そういう、光くしゃみ反射の体質なのだという。
この確率についての信憑生は、あんまり信じていない。だが、だいたい、カエルの足も、右から生えるが、左から生えるのが、25%くらいだというから、あながち、嘘でもないと思うし、経験値上、昔から、この、光くしゃみ反射がある人というのをカウントしてみると、25%程度なのだろうと、漠然と思っていたりする。
家内は、私が、くしゃみをよくすることは、もちろん、知っている。そして、光くしゃみ反射の体質であることも、よくよく知っている。
私が、くしゃみが出そうで、太陽や電灯をみようとしていると、家内が、決まって、妨害工作をしてくる。
その妨害工作は、単純だ。
私が、はぁ、はぁ、はぁぁぁ、ハックションッ!!!
というタイミングに合わせて、家内が、声を出してリズムをとるのである。
そうすると、どうなるか。
私のくしゃみは、止まってしまう。
くしゃみを出したくて、うずうずしていて、もうそろそろ出そうだ、という段になって、すんでのところで、この手で止められてしまうのである。
この事態、私にとっては、一大事だ。
そして、家内にとっては、とても愉快な悪戯らしい。
今まで、何度となく、その妨害工作にハマり、私は、涙を飲んできた。
私とて、家内に悟られないように、くしゃみの放出を遂行しようとしている。
だが、家内の勘は、宇宙一鋭い。
だいたいの場合、家内の妨害工作は、成功するのである。
まともに勝敗をつけたことはないが、今年に入ってから、0勝3敗である。つい先週も、負けたばかりである。
家内は、私に、この妨害工作を仕掛ける時は、この世で一番の笑顔で顔を寄せてくる。
心の中の、リトルkojuroが、呟いた。
そうだよ。あの顔、憎たらしいんだよな。実に。
今年は、勝敗を、まじめにつけていこうかと思う。ここまで結婚してから、勝ち越した年は、絶対に、無い。今年こそは、勝ち越すぞ。
そう、心に誓った。
すると、心の中の、リトルkojuroが、ため息をつきながら呟いた。
年始に、目標を掲げるかと思えば、そんな、どうでもいい、ちっぽけなことか.....。器が小さい。小さすぎる.....。
でも、私にとっては、一大事なのだ。だから、誰になんと言われようと、これは、今年の、ひとつの、目標なのである。半分、嘘だが。