ひらき
家内のこだわりポイントは、ポイ活と、クーポンと、節約である。
このあいだ、長女の家で、高級食パンを購入して、高級トースターで焼いて食した。贅沢な試みであった。その持ち帰り分を、週末に我が家で食した。我が家のトースターは、普通のトースターである。というよりも、家内の実家に、何年も眠っていたものを、義母が長女のために、それも、何年か前に、譲ってくれたものだ。それでパンを焼き、家内の好きなバターを塗った。
自分で皿に盛ったので、ごった煮風に、写っている。
家内は、その写真は、ちゃんと、自分で盛ったって、記事には書いてね。私じゃ、ないからね。
そう、言った。
ここまでは、約束通り。
そして、もう一言、言った。
このチューブは、写しちゃダメよ。
いやいや。もう、写したよ。
私は、心の中で、小声でこたえた。
そして家内は、続けた。
記事にしちゃ、ダメよ。
いや、書くと思うよ。
また、私は、心の中で、囁いた。
多分、主婦の鑑だって、褒めてくれる人もいるよ。だから、記事にするね。
家内の後ろ姿に、両手を合わせて、聞こえないくらいの小声で、許可をもらった。
それにしても、見事な、バターチューブの、「ひらき」だ。
ここまで使い切ったら、バターチューブも、思い残すことは、無いだろう。
いつものように、
ありがとう
と、言いながら手を合わせて、ダストボックスに入れる。
合掌。
もうひとつ。最近の、私の仕事だ。
家内のアイブローも、5cmを、とうとう、切ってきた。もう、持ちにくくなってきたので、補助軸をつけた。これは、小学生時代の、長女のお古である。
家内は、
もう、そろそろ、新しいのを出してもいいかな。
そう、言っているのだが、補助軸を使っても使えなさそうになるか、私の削りの技量が追いつかなかったら、もう、諦めようと約束している。
家内のこだわりポイントは、ポイ活と、クーポンと、節約である。
でも、それはもはや、我が家全体の、つまり、私のこだわりポイントと、化してきている。