ショートショート_蛹
雨を聴く季節は、とにかく鬱陶しいと思っていたのは幼い頃のことだ。大人になると私は花粉症となり、梅雨の季節になってようやくマスクを手放すことができる。
つまり、私にとって梅雨は自由を意味する。
学生時代は、練習がなくなるようにと雨乞いをしていたが、そうなると息つく暇も無い校内サーキットが始まり、かえってきついことになると思い知りやがて雨乞いをやめた。
晴耕雨読とはよく言ったもので。雨の日は図書館で本でも読んでいる人が羨ましくなる。密かに文学少女に、なんだか憧れをもった。自分と違う世界に没入している冒険家に、敬意を表したりした。
雨。恵みの雨とも言う。そして、事が整うと雨が降るとも言う。とうとう梅雨の季節になる。私にとっては、やはり、自由を意味するこの季節。これが明けると球音があの球場から聞こえてくる。
そんな日曜日の夕方に、またもや、荒技をやってしまった。
さて、小牧幸助さんの、シロクマ文芸部の最新お題は、木曜日に出る。
そして、今回のお題は、「雨を聴く」から始まる小説・詩歌・エッセイなどを自由に書いてみませんか?ということで。
そして、たらはかにさんからのお題は…
表のお題がお題【友情の総重量】で。裏のお題が【粒状の総料理長】ということだ。
また、山根あきらさんのお題は、ちょっと早めに出る。
今回は、いつもの青ブラ文学部のお題は休みで。「第3回変態王決定戦」という企画になっていて。
リアルな話でも、創作でも構いません。ご自身が「私ってズレてるなぁ」と思うことを書いてもいいですし、他の人を見て「変わってるなぁ」というエピソードを書いてもいいですし😊。「ちょっとそういう話題は…」という方は、タイトルまたは本文中に「変態」という言葉が使われていればOKとします🆗🙆。とのことで。
感覚的にはこれは来週のお題なのだが、今日、これにも乗って書いてしまおうときめた。
お3人の企画、「シロクマ文芸部」、「毎週ショートショートnote」、「青ブラ文学部」転じて「第3回変態王決定戦」はどれをとっても、膨大な数のファンの方、参加希望者を抱えていらっしゃって。お題を考え、出すだけでも、大変だと思うのである。
それでもお題を出してくれる。毎週。ほんとうに、ありがたい限りだ。毎週、励みになる。
また、今回の「シロクマ感想文」は、秋月 めぐみさんの、シロクマ文芸部作品を読んでみた。ちょっとその感想を述べてみる。
54文字は、良い余白を残す。
「雨がお歌を歌っている」とは、小さな子の感性なのだろう。でも、もうアラ還の私には、そういう心持ちが寧ろ新鮮で。そして、得がたいもののように思われる。あの頃の、ただの空想少年に戻りたい気分になる。
オーバーツーリズムの京都のお寺の庭も。喧騒の中に、ふと雨音に耳を澄ませれば、暫くするとかえって没入してしまい、周囲の音が聞こえなくなる。そこに、侘び寂びを楽しむ。そんな、柄にも無く達観した気分になった。
たった54文字で、世界を変えることができる。54文字の威力、凄いと思う。
生きていることに感謝して。今宵も、月に祈ろう。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
せっかく出していただいたお題を、小牧幸助さんの始まりの言葉と、たらはかにさんの裏表のお題、さらには山根あきらさんの企画、4ついっぺんに書く荒技。まして、シロクマ感想文まで、5重の荒技。あまりにもやりすぎじゃないかな。
うむ。
これで何週間だろうか。まあ、続けられるだけ、続けるさ。
心の中の、リトルkojuroが、また、ボソリと、呟つぶやいた。
なんだか、悪ガキのまんまだな。
まあな。
そしてもう一度、心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟つぶやいた。
家族からのお題は、バックアップで書いたの?
うむ。少しずつね。でも、それを投稿する機会がなくなってしまったかも知れない。どうしようか。
私は、この荒技シリーズを、もっとかっこ良くハードボイルド風に書き上げたいと思っている。だが、毎回、なんだかテイストの靄った内容になってしまっているようで、実は、反省している。ほんの、少しばかり。
さて。それでは、本編にまいりましょう。今週の荒技、「蛹」約410字を、どうぞ。
☆ ☆ ☆
雨を聴く季節に、財前はよく窓の外を良く眺めていた。
彼は幼少の頃からの昆虫好きが高じて遂にはその道の学者になった。
「昆虫は、きっと宇宙からの飛来物だ」
彼によると、昆虫は生物学的に極めて特殊でその存在自体が地球上最大の謎だと公言して憚らなかった。
涼と財前は親友で。今でもしっかり繋がっている。
先週、奇怪な事件が起きた。
ある朝、京王プラザホテルの総料理長室の椅子に半透明の“モノ”が座っていたのである。
大きさは寝袋二回りほどで。中にはビーズ状の物体が目いっぱい詰まっている。
如何なる秘密警察も、初めてのケースで。自体を打開する手立ては皆無だった。
涼は財前に連絡を入れた。
「旧友の誼だ」
と、財前は重いはずの腰を上げた。
臨場すると、財前はすぐに言った。
「完全変態の蛹だ。即刻冷凍保存した方が良い。恐らく昆虫人間、つまり、怪人化だ」
現場に戦慄が走り。即座に蛹を本部で冷凍保存することになった。
何かが始まった。
涼と財前は目を合わせた。
☆ ☆ ☆
■追記■
以前、私も参加していた、ヤスさんの企画の66日ライティングランニング。実は、第二弾が発動することが決定した。
66日続ければ、それはその人の習慣となるらしい。
今回の企画は、ちょっと変更点がある。スタート日とゴール日が決まっている。途中参加は不可なのである。だから、事前に広く告知が必要だということで。私もヤスさんの片棒を担ぐことにした。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジ、参加するかどうかわからないけれどね。「追放」って、コジ、ビビりだもんね。笑
概要は、以下の通り。
無事完走したら、完走者しか入れないマガジンへの招待がくるはずだ。さあ、みんなでこの、66日ライランに参加してみよう。