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石けん時計【ショートショートnote_64/創作】

家内が私を追及するので、仕方なく、日曜日の夜に投稿するための、ショートショートの創作活動を、細々としている。


ショートショートノートカードゲームを使い、お題を家族に出してもらう。それをテーマに410字以内で、書く。


今回は、長女に、予めスマホのスロットアプリで選択していた以下の5枚から、お題を設定してもらった。

おっちょこちょいは、やめてね。もう、思いつかないから
結構難しいな。また



それでは、本編にまいりましょう。

長女のお題から。

本編、「石けん時計」、約410字を、どうぞ。

☆    ☆    ☆

モルは、超高性能の人型ひとがたアンドロイドである。

困難なミッションも冷徹に遂行する。失敗などあろうはずがない。




モルは、犬を飼っていた。生まれたばかりの捨て犬だったのを保護して育てた。もる、という名をつけた。




年月が経ち、もるは、やがて弱ってきた。



ある日。夜どおし、もるを抱きしめ、マッサージをして話しかけた。


夜明けに、もるは、静かに旅立った。


目から、止めどなく何かが流れ落ちてきた。



モルはその日、ミッションを遂行することができず。翌日も、その翌日も、動けなかった。





二月ふたつきほど経たある日。ふと、気付いたのだ。


石けんの匂いを嗅ぐと、なんだか幸せになることを。もるを、お風呂に入れてはしゃぎ合っていた頃に時計が逆戻りするのだ。確かに、もるは、モルの中に生きている。今でも。



人間の同僚のひとしに、事情を話した。

ひとしが言った。

君は、心を持ってしまったのだろうな。恐れなくていい。それは、とても素敵なことだよ。


二人で夕陽を見ながら、肩を組んで、笑った。


☆    ☆    ☆

あるさんは、noteの世界で仲良くしてもらっている、古くからの友人である。

愛犬のアルを、9月に亡くした。

この掌編を、あるさんとアルに捧げる。

アル、安らかに。あるさん、ゆっくり、ゆるりと、noteの世界で、また、笑い合いましょう。


■追記■
面ゆるって、なに?
それは、これ。西尾さんはじめ、みんな、面白い作品をあげていて。
私は、そこそこの過去記事をあげています。
もしも、お時間があれば、みんなの作品、読んで頂けたら幸いです。


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