何処へ
私の今の気持ちに、ぴったりなカバー画像を見つけたので、思わず、お借りした。そして、今日の記事を書こう。
私の家内は、全くと言っていいほど、本を読まない。読み物で大好きなのは、近所のスーパーの広告であり、その広告を入手するために新聞の契約をし、広告を確認するついでに、新聞を読むが、読んでいるのは、ほぼ、生活に関連する地域版である。
私は、活字が好きだが、新聞は、ほぼ読まない。全てとは言わないが、情報が偏っていることも多いし、信憑性が少ない記事も目につく。そして何より、悲観的なニュースが大半なのである。だから、どこかに勇気づけられる文章はないかと本を読み、ほとんどは、noteの世界を漂っている。
家内は、私がnoteの世界にときどき入っていることは知っているが、私の投稿する記事にも、読む記事にも、全く興味がない。私の、noteにまつわる話は、聞くには聞くが、右から左に流れ、脳内のどこかに蓄積されたり、分析されたりすることは、ないのである。
そんな家内が、最近、フリマアプリで、本を購入しているのだ。
心の中の、リトルkojuroが、家内に聞こえないような小声で呟いた。
読みもしない本を。どうするつもりなんだろ。
恐る恐る、私が、家内に問うた。
もしもし。
読まない可能性が、高いかもしれない、本というのもを、あなたは、どうして購入するのですか。
すると、家内がこたえた。
うん。ずいぶん安くなっていて、クーポンで買えるくらいになっていたし、クーポンの期限が、きているのよ。だから、使った。
心の中の、リトルkojuroが、苦笑しながらボソッと呟いた。
それって、購入動機が、逆じゃないの?
ふつう、欲しいから探す。買う。でしょ。
クーポン消化に、仕方なく本を買うなんて.....。
まずは、これ。
なんなんだろう。
家内は占いには、左右されやすい。確かに。私の話はほぼ聞いていないし、心に響かないようだが、テレビの占いや、ちょっとうさんくさいくらいの八卦見の話は、食い入るようにして話を聞いている。
心の中の、リトルkojuroが、囁くように呟いた。
何かに目覚めたか。ひょっしたら.....。
そして次は、これだ。
家内は、整理整頓、特に、整えるという言葉には、縁遠い。まして、朝は、かなり弱い。にも関わらず、この本。
心の中の、リトルkojuroが、ちょっと苦笑しながら、小声で呟いた。
本当は、今の自分を変えたいのかもな。
殊勝なところも、あるのかも知れないぞ。
そして、最後は、この本だ。
家内は、この本に目を落としている私に気づき、間髪入れずに声を大にして言った。
これは、売ると、かなり高く売れるのよ。出品したら、すぐに、売れている。だから、買ったの。
心の中の、リトルkojuroが、腹を抱えながら、でも、声を殺して呟いた。
本って、売るために買うのかよ。転売ヤーなのか。発想が.....。
私は、ちょっと呆れていたのだが、長女が帰宅してきて、この本を見て、言った。
あ、育ちがいい人、読みたい。持って帰る!
長女も、本を読まない。漫画は、かなり、読む。それは、知っている。なぜならば、漫画を読むために、Kindleを購入させられたからである。
夜、就寝前の長女が、わざわざ私に声をかけにきた。
Kindleに、宇宙兄弟の最新刊、入れておいてね。今晩、読むからね。
心の中の、リトルkojuroが、呟いた。
読むなら、本だろ。あの。
家内のこだわりポイントは、ポイ活と、クーポンと、節約である。そして、長女のこだわりポイントは、オシャレと、まいやんと、ドラえもんである。
ほどなく、この本たちは、姿を消すだろう。
今までも、そうだった。ほんの2,3ページパラパラとめくって、すぐに飽きて、また、フリマアプリで売りに出される。
実は、私は、その本たち、ちょっと読みたいと思っているのだが。
彼女たちは、いったい、何処へ向かっているのだろう.....。
家内も、長女も、次女も、今、笑いながらお茶をしている。
本は、彼女たちの、こだわりポイントではない。
それでも。
我が家のお茶の間に、笑顔と笑いがある。
だから、これで、いいのだ。