見出し画像

充電を待っている【ショートショートnote_67/創作】

家内が私を追及するので、仕方なく、日曜日の夜に投稿するための、ショートショートの創作活動を、細々としている。

ショートショートノートカードゲームを使い、お題を家族に出してもらう。それをテーマに410字以内で、書く。

今回は、次女に、予めスマホのスロットアプリで選択していた以下の5枚から、お題を設定してもらった。

忍者くらいが、いいんじゃない?


だめか。また、充電かよ


それでは、本編にまいりましょう。

次女のお題から。

本編、「充電を待っている」、約410字を、どうぞ。


☆    ☆    ☆

それは、師走しわすの夕暮れのことだった。

ふとしは、レポートを書いていた。卒論に向けての概要書だった。

学内のスタバは、この時期いつも満席で。あのご時世はいにしえのこととなり、今や対面講義ばかりで。生産性を考えると、やはりリアルで集まるべきとする欧米の論文さえ出ている。

あの頃が、なつかしい。


ふと、後ろに人の気配がした。


振り返ると、ひとりの女性がはにかみつつ立っていて。ニコリとして充電器を見せた。

ふとしの席には、コンセントがついている。どうも、スマホを充電したいらしい。

あのー。もしも良かったら、あの席と、替わっていただけないですか。

彼女が指さすのは、窓側のソファー席で。そこには恐らく、コンセントは無い。

ふとしは、そもそも充電をしていなかった。なんら、その席でも良いのである。

もう一度彼女の顔に目を移すと、無邪気な笑顔をたたえている。

いですよ。


たった、それだけのことだった。


卒業式の朝、あの時の席で。彼女が後ろに立つのを待った。

ありもしないのに。


☆    ☆    ☆


■追記■
面ゆるって、なに?
それは、これ。西尾さんはじめ、みんな、面白い作品をあげていて。
私は、だいたい土曜日の夜に、そこそこの過去記事をあげています。
もしも、お時間があれば、みんなの作品、読んで頂けたら幸いです。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?