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シティ
長女と、家内の、こだわりポイントは、何度となく登場した。今日は、少し前のことになるのだが、長男のこだわりポイントを、少し、書きたいと思う。
長男のこだわりポイントは、マンチェスターシティー(シティと省略することもある)と、水と、食事である。
わざわざ、水、というのは、不思議に思われるかも知れないが、事実、匂いや味に敏感で、水ききが、できるほどである。
ゴールデンウィークも、長男のために、私は、ミッションで汗をかいた。
その後、暫くしてから、普段はほとんど連絡を入れてくることの無い長男から、LINEが入った。
マンチェスターシティーというのは、長男が贔屓にしている、サッカーチームだ。イギリスの、プレミアリーグに所属し、今年、絶好調で、プレミアリーグ通算7度目の優勝と、リーグカップを制し、あとは、クラブ初のファイナル進出で、ヨーロッパチャンピオンズリーグ(UCL)を制せば、史上初の制覇。しかも三冠という、千載一遇のチャンスのステージにいたのだ。
長男の興奮は、もう、一月以上前から続いていて。このご時世でなければ、仕事もなにもかも投げ捨ててでも現地で応援するのにと、海外に行けないことを、心底嘆いていた。
私も、その劇的な瞬間を見ようと、長男に、WOWOWのIDを聞くと、もう、私のiPadに、ゴールデンウィーク中に、セットしてあるという。
試合は、日本時間の早朝、4時からライブで中継され、やがて、キックオフとなった。
途中、相手チームのゴールで均衡が破れ、形勢不利が続き、長男からは、やがて、気弱なコメントが入ってきた。
私は、こう、返した。
心の中の、リトルkojuroが、静かにつぶやいた。
長男よ、お前もか。
試合は、結局は、その1点が決勝点となり、残念ながら、マンチェスターシティーは、敗れた。
長男からは、もう、LINEでも、何も、返信も、連絡も、無かった。
私は、Twitterを、読んでみた。いろいろな情報が、出ていた。
【欧州CL】チェルシーが2度目のチャンピオンズリーグ優勝!マンチェスター・シティは悲願達成ならずhttps://t.co/jrW9IeZ28x
— ライブドアニュース (@livedoornews) May 29, 2021
ハフェルツのゴールを守り切ったチェルシーが2011/12シーズン以来、2度目のCL制覇を果たした。マンチェスター・シティの初優勝はならなかった。 pic.twitter.com/o88PAyCkU5
マンチェスターシティーの選手たちは、呆然としていた。
大チャンスを逃して。
恐らく、こんな大チャンスは、普通に考えると、一生のうち、もう、無いだろう。だからこそ、千載一遇のチャンス、なのである。
泣きじゃくるのは、負傷退場したデ・ブライネ選手である。
まだ若者とは言え、大の大人が、人目をはばからず、泣き崩れている。
それは、そうだろう。
選手たちの喪失感は、どんな鋭敏な想像力や、AIをもってしても、他の誰にも、分かるものではない。
捲土重来という言葉がある。
たとえば、すべての希望が打ち砕かれたとしても、今は、一条の灯りも見えないとしても、それでもなおかつ、前を向き、立ち上がり、奮い立ち、なりふり構わずに、立ちはだかる壁に抗ってほしいと思うのである。
マンチェスターシティーの選手達には、その姿勢を、これから先、ずっと、貫いて欲しい。
なぜならば、それこそが、人に、夢を与え続ける、スポーツというものの本質だと、私は、思うからである。