言い訳
家内は、ときどき、こんなことを言うのである。
あのさあ、絶対に怒らないって言ったら、教えてあげる。
心の中の、リトルkojuroが、嘆きつつ呟いた。
教えてあげるじゃなくて、まずは、謝らないと、ね。
家内が、続けた。
謝るようなことでも、ないのよ。
私は、悪くないんだから。
心の中の、リトルkojuroが、ぼそっと呟いた。
じゃ、なんで、コジが、怒ると予想するんだよ。
家内が、さらに、続ける。
なんだか、コジくんは、怒りそうな気もするんだよね。
それに、コジくんにも、きっと、責任があるのよ。
いや、ほとんど、コジくんの責任なんだから。
こういう言葉を聞きながら、結局は、私は、言うのである。
怒らないから、言ってごらん。
すると、家内が、さらに、続けて言う。
絶対に、怒っちゃダメだよ。絶対に。
そして、最後に、こう、付け加えた。
報告は、ふたつ、あるのよ。
心の中の、リトルkojuroが、ちょっと、ズルッと、ずっこけた。
おおっと.....。
ふたつも、か。
家内から報告を受けたひとつ目は、これだ。
私が手続きした、次女のPASMO定期券だが、手続きが早過ぎて、4月の終わりの数日間、前の定期が無効になって、どうも、実費を支払っていたようだという悲しい知らせが、次女からあった、というのである。
家内も、次女も、パソコンを操作するのを、とても嫌がる。特に、こういったものの手続きは、すべて、私の仕事になる。
心の中の、リトルkojuroが、悲嘆に暮れて呟いた。
手続きをさせられて、損失を出したのが、あなたのせいよと言われたら、悲しい限りだな.....。
家内は、でも、私を慰めることも、忘れていない。
でも、コジくん、お金は損したけれど、いい勉強になったじゃない。
心の中の、リトルkojuroが、呟いた。
なんだか釈然としない、慰めだけれど、な。
PASMO定期券の手続きは、ちょっと、不明なところがあるので、研究しなければならない。そう、誓った。
そして、家内の報告の、ふたつめは、これだった。
あのさあ、車で走ってたらさあ、さっき、これを見つけたの。
心の中の、リトルkojuroが、落胆して呟いた。
本来は、16061kmを、目撃するはずだったよな。
回文数逃し....だな。
家内が続けた。
だって、私がほとんど運転してるのよ(注1)。
見逃しても、仕方ないわよね。
心の中の、リトルkojuroが、首をすくめて呟いた。
コジが運転してたら酔うからって、自分で好んで運転しているんだろ。
それを.....。
まあ、いいけれど。
私は、笑顔でこたえた。
そうだね。
仕方ないね。
だが、車での、関西からの帰路。
またさらに、こういうことに、なるのだ。
確かに、これは、回文数である。
だが、本来は、0を中心にした、回文数を、目撃しようと、言っていたのだ。
つまり、100km余計に走っている。
心の中の、リトルkojuroが、呆れて呟いた。
こりゃ、まったく、やる気無し、だな。
家内は、気持ちの切り替えが早い。家内のこだわりポイントを外せば。
家内が言った。
また、次のを捕まえたら良いのよ。
チャンスは、また、やってくるんだから。
さあ、次、次!
心の中の、リトルkojuroが、膝を抱えて呟いた。
なんだか、つまらないスポコン漫画を読んでいるようなセリフだな。
家内は、底抜けに明るい人である。過去にこだわることは、ほとんど、無い。
その性格に、今まで随分と助けられてきた。
だから、
これで、いいのだ。