リュック
もう、長いあいだ、通勤に、リュックを使っている。もともと、リュックが好きだった。両手があくし。肩や腰に、無駄な負担がかからない。
思い返せば、ランドセル。せっかく、良いものを買ってもらったのに、小学4年になる頃には、もう、飽きてしまって。使わなくなって、母に残念がられた。
なぜだろう。
飽きたのは。使わなくなってしまったのは。
心の中の、リトルkojuroが、ボソッと、つぶやいた。
命名しておけば、良かったね。
そしたら、コジは、使い続けただろうに。
そうかも知れない。
今、目の前に、あの頃の私のランドセルが現れたならば、そのお古を、通勤に使うかも知れない。
心の中の、リトルkojuroが、笑って、つぶやいた。
それは、ないだろう。
ウソは、いけないな。
確かに。
でも、今になって、愛おしく思ったりする。母の、あの、残念そうな顔。乱暴に扱って、ボロボロだった、あの、ランドセル。
小さな頃、徒党を組むことは無かったが、悪ガキだった。よく、ケンカもした。
ランドセルは、防御する盾にもなったし、振り回すと武器にもなった。
心の中の、リトルkojuroが、頭を抱えて、つぶやいた。
ランドセルを、何に使っとんねん……。
そうだね。可哀想に……。
どうしてリュックにしたのかと、何年も前に、長女から言われたことがある。
私は、言葉に窮した。
考えても、出てこなかった。
リュックが、好きだからと、こたえた。それ以外の理由が、思い浮かばなかったのだ。
すると、家内が口を開いた。
東日本大震災からくらいじゃ、ないかな。
多くなってきたのは。
通勤に、リュックを使っている人は、かなりの数、いる。そしてその当時も、かなりの数が、いたと思う。特に男性は。
もう、テレワークの時代だ。オフィスに通わない時代になってきた。だから、リュックをわざわざ背負って、通勤しなくてもいい時代になってきた。
だが、私は、仕事柄、オフィスにも通うし、客先にも出向く。
今までも。そして、こらからも。
リュックには、今後ますます、活躍してもらうことになるだろう。
私のリュックには、勘太郎という名前がついている。
なぜ、勘太郎なのか。
さあ、それは、ことさら、書くほどのこともないだろう。