Film Never Die | 無趣味な元彼👬
うつ状態が本当に酷い時、ヒトは趣味に何一つ興味を喪失する。時間を忘れるように打ち込んでいた音楽にも、人一倍気にしていた自分の身なりにも、僕だけがいない街のように世界は回っていく。
鬱は「精神的な〜…」みたいな表現をされてしまうから、そういった経験の乏しい人には一生理解できないのも、今なら理解できる気がする。精神というよりは「身体的な〜…、脳的な〜」がいちばん近しい気がする。
どれだけの理想論を語って、他人の立場を理解しようとしたって、そこには理解しようとする自分が既に作り上げてしまっている理想の他人という幻想がある。それを果たして「理解」と呼んでしまっていいのだろうか…?
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という不穏な前置きはさて置き、僕の元彼は無趣味である。本当に良くも悪くもあらゆる執着が一切なく、「この人は現世で既に悟りを開いてしまっている覚者」だとすら思っていた。
だけど、実際はそうではなく、「自発的に、能動的に」行動するが苦手なようだった。決して何に興味が持てないわけでも、他人に関心が乏しい訳でもない。むしろ、他人のことを自分のことのように考えられる人だ。
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先日の北海道遠征に引き続き、今回も元彼に連れられてなんとか名古屋まで辿り着いた。完全復活(じゃなくて僕は全然良いと思う)したサカナクションを目撃した瞬間から記憶が飛んでいる。
公演終了前の山口一郎のMCで「僕たちはもう元には戻れない」とはっきり言っていた。その言葉は精神的な病になった人にしか理解しがたい、自らもきっと気持ちの奥底には認めたくない独特の感覚だ。そして、「それでも、新しくなっていく」と涙を堪えるように、懸命に力強く語っていた。
他人の言葉を借りて語るのは正直ダサいけれど、僕も完全にそういう生き方を選んで、ここ数年で確実に自分の人生を今までとは違う人生へと進めている。
双極性障害を発症する前に出来ていたことは今はもう全然できなくなっていたり、習慣の力でどうにか成り立っていた自分の周りのことすらもままならなくなることが多々ある。
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話を戻そう。無趣味な元彼の話。何を隠そう僕もカメラ沼にハマってしまうまでのかなり長い間、本当に無趣味の期間が続いた。そして、それが何故か、生きている意味がわからなくなる程に辛いのだ。虚無なのか、人間は何かしないと生きてはいけない定めなのか?
そして、元彼がフィルムカメラを始めた。「始めた」とか言ってみたけど、せっかく一緒に居る時間も長いし、彼の人生の何かのきっかけになればいいなと思った。僕の余計なお節介がここでも炸裂してしまった…。
彼が昔から好きな俳優の北村匠海がNikonや、PENTAXのフィルムカメラを使っていることを知って、PENTAX SPとSuper-Takumar 55mmをセットでプレゼントした。カメラストラップも、防湿ケースも、防湿剤も、カメラを入れるのに丁度良い無印良品のナイロンメイクボックス(L)という名のカメラケースも!!たまにはお礼してね?♡
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