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至高の人物画とは

 「絵の横道」12回目

人物画の名作は世に数多ありますが、至高という気品溢れる表現にふさわしい作品は稀です。

今日はその中でも特に全身立ち図の至高の名作二点をご紹介します。

まず、下の絵をご覧下さい。

12笛を吹く少年

<エドゥアール・マネ 「笛を吹く少年」1866年  オルセー美術館
画像はWikipediaより転載>

これは、印象派の画家マネの最高傑作です。

笛を吹く少年が抑制された色彩で見事に描かれています。この赤いズボン、画面をきりりと引き締めている黒の上着、美しいですね。こう言った美が生まれる一つの大きな素因は素描力(デッサン)にあります。色彩は色そのものというよりデッサンによって輝くのです。この古典的で単純な原理を知らないで絵を描いている人の何と多い事でしょう。日本にこの絵がきた時に僕はこの絵に圧倒され、何分も絵の前に佇んでいました。まさに、至高の人物画と言えるのではないでしょうか。

しかし、日本画にもこれに勝るとも劣らない傑作があります。
下をご覧下さい。

12序の舞

<上村松園「序の舞」1936年 東京芸術大学所蔵>

上村松園です。
何と美しい絵でしょう!

この絵を見てこの美しさが判らない人がこの世にいるのでしょうか…、とさへ僕は常々思います。松園は今舞い始めようとするその一瞬を描き、これを永遠の美として絹本*に封じ込めました。
いかがでしょう、息を呑むようなこの比類なき気品。
まさに、こちらもマネと同様に至高の人物画と言うにふさわしいのではないでしょうか。東京芸大でこれを見た時に、本当に僕は気を失いそうになる程感動しました。

さて…
😋あなたは、どちらがお好きですか?

今日は、「至高の人物画」和洋立ち図2点をご紹介しました。
あなたの絵画インテリジェンスの向上にお役に立てましたら幸いです。


*絹本(けんぽん)とは美術用語、絹に描かれたもの. 日本画、掛け軸.
*エドゥアール・マネ 1832年- 1883年 フランスの画家.
*上村 松園 1875年-1949年 日本画家.

<もりおゆう© この美術エッセイは著作権によって守られています>
(YU MORIO © This art essay is protected by copyright.)


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