「母の裁縫箱は魔法の箱」
「僕の昭和スケッチ」画239枚目
僕は母親の裁縫箱を見るのが好きだった。
古びた木製の箱で色んなものが入っていた。
こんな所にと思う所に小さな引き出しが付いていたり、指先で引っ掛けて開ける秘密の蓋があったり、背面には定規を収める工夫がされていたり、、、
その中にありとあらゆる裁縫道具が詰まっていた。
それは、まるで魔法のカラクリ箱のようだった。
その裁縫箱の側で母親が針仕事をするのを見ているのが好きだった。
「ゆうくん、針が刺さると体の中にどんどん入ってしまうから針に触ってはいかんよ」
彼女は、そんな風に繰り返し幼い僕を脅して、針に触れさせなかった。
懐かしい思い出だ。
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