『ラブレス』に惚れる

昔から小説は大好きで、ミステリーから恋愛小説からいろいろ読んだ。

とは言ってもそんなにたくさん読んでいるわけではない。

昔から好きなのは、田辺聖子さんとか、佐藤愛子さんとか。結構読みました。
ちょっと前からでは、萩原浩さんの作品のファンで。「神様から一言」がその中でもいちばんの好み。

宮部みゆきさんや、東野圭吾さんの作品も結構好き。宮部みゆきさんの「火車」は私にとっては圧巻。

湊かなえさんとなると、ドロドロすぎるけど、たまに読みたくなる感じ。

最近、佐藤愛子先生の本がかなりうれて、大ベストセラーになったが、長年のファンとしては、佐藤愛子先生の文章や書いておられることは、痛快で、
みなさん、気づくの遅いよ、って気持ちだったな。

佐藤愛子さんの作品の中でも、『私の遺言』が、私は大好き(小説ではないけれど)。

でも、実はこの数年、小説を存分に読めなくなっていた。老眼になり、眼鏡をかけても、目が疲れる。こめかみが痛い。読むのがつらい。

慢性疲労になり、読む気力がなく、私の物語好きは、テレビドラマや、映画や、もっぱら映像を見ることで満たすしかなくなった。

が、最近になって、たまたま、桜木紫乃さんという作家さんを知ることに。どーしても作品を読んでみたくなった。
その思いは老眼に伴う苦痛を超えた。

本当にやりたいことは、どうあってもやろうとするのは本当だなと改めて思った。

桜木さんの作品「ラブレス」は読んで深く響くものがあった。ことばでうまく書けないのがもどかしいけれど、これは惚れた、みたいな、感覚かなー。人物の描き方や物語の流れや、その奥にある、作者の人を見る眼差しというか、大きさというか、、、そういうものにぐっとハートを掴まれた、感じ。

桜木さんが、直木賞の受賞会見の時に、「自分の身に起こることには何ひとつ無駄がない」と語られたそうで(私はその場面を見てはいないけど)、それと同じような言葉を、私は友人から聞いたことがあった。

私が病気で倒れて、先の見通しが立たず落ち込んでいる時、
長年の友人は、こんなメッセージをくれた。
「今はゆっくりする時期なんだよ、きっと。私が救われた知り合いの言葉ですが、『どんな経験もこの仕事をしていく上では、プラスにこそなれ何も損なわれることはないんだなぁ』」

その通りだなと思いながら聞いた言葉は私の胸深くに刻まれている。

そうなのだ。
起こることすべてに今の私の仕事にはプラスにこそなれ、何も損なわれない。
悲しみも、苦しみも、喜びも、虚無、無力感、脱力感、意欲低下、、、経験したことすべて、誰かの役に立つよう、
私は私の体験をしっかり味わい尽くそうっと。




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