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【取材記事】マーケティング会社発の「買っトク!Ponta」協業をきっかけに廃棄ロス削減を加速

株式会社mitorizは「店頭フィールドラウンダー」を中心としたマーケティングソリューション事業を主軸とした会社です。全国約10万人のキャストネットワークを保有し、レポート分析・データ活用を元に、ラウンダー、店頭調査、覆面調査、販促物制作・設置など、販売店の売上向上を目的とした幅広いサポートを行っています。今回は株式会社ロイヤリティマーケティングと協業し、余剰在庫を扱うECサイト「買っトク!Ponta」を開始した背景や、サイトの特徴、将来の展望などをEC事業責任者の東様に伺いました。

【お話を伺った方】

東 宏樹(ひがし ひろき)様
株式会社mitorizDMB本部ECS部 部長。
2011年明治大学卒業後、不動産仲介会社を経て、2013年9月ソフトブレーン・フィールド(現mitoriz)に入社。店頭構築のアウトソーシング部門配属となる。
2016年、九州支店の立ち上げ経験後、2018年、本社にて同部門マネージャーに従事。
スポット案件のクライアントをメインに担当する。 2022年、EC事業責任者に就任。企画・
数値管理・仕入れなどサイト運営における業務を包括的に行っている。



■「買っトク!」課題の創客を「Ponta」協業により解決へ

メーカーの余剰在庫をおトクに購入できて、フードロス削減・廃棄量削減に貢献できる仕組み

mySDG編集部:「買っトク!Ponta」サービスのきっかけから伺います。

東さん:「買っトク!Ponta」事業は、もともと株式会社mitoriz(ミトリズ)前身の(旧)ソフトブレーンフィールド時代に「買っトク!」として、立ち上げたECサイトです。

当社の主軸事業は、メーカーさんから業務委託を受けて、店舗にて商品の売り場づくりや定期巡回などをする「店頭フィールドラウンダー」です。これは、本部で決定した販促を現場で具現化して、店舗での売上向上を図るサービスになります。

その業務の過程で、メーカーから在庫ロスがあり困っていらっしゃると聞いていました。また、消費税が10%になった頃、ラウンダーとして働くキャストさんたちからは、物価の高騰で生活必需品の買い物コストが上がり、家計に響いていると聞いていました。

双方の困りごとの話からヒントを得て、メーカーの余剰在庫と、一般家庭の消費者をうまくつなぐことができないかという思いから始めたのが「買っトク!」です。

しかし、会員限定販売のクローズドサイトで構築したことで、会員集めにとても苦労してしまったんです。当然ですが、人が集まらないと販売力が上がらず、販売量がついてこない。メーカーさんの保有する在庫は、1アイテムで何万個とか何千個という量です。そこに対して「買っトク!」は会員が少なく、販売力が伴わない状態で、私たちの買い取りできる量が1万個のうち100個程。これで本当に解決になっているのかという疑念が湧いてきました。

その問題を解決するために、レシート(POB)事業で提携している株式会社ロイヤリティマーケティング(以下、ロイヤリティマーケティング)さんと協業事業として改めて立ち上げたのが「買っトク!Ponta」です。

mySDG編集部:御社から協業のご相談をされたのでしょうか?

東さん:当社の代表と先方の取締役とお互いに意見を交換していく中で、こうしたEC事業を拡大できないかと徐々に話が膨らんでいったそうです。

ロイヤリティマーケティングさんのポイント事業「Ponta」の会員数は1億人超(2023年2月時点)と伺っております。ロイヤリティマーケティングさんに、多くのPonta会員の方々へメルマガを流していただいたり、アプリ上でバナー広告を出したりなどの送客部分を担っていただくことで、課題であった会員獲得のリーチ数を大幅に増やすことができ、創客の問題が解決に至りました。それに伴い、現在は仕入れ量を増やすこともできています。


■価値観の変化を追い風に、コロナ禍の大量ロス削減に乗り出す

商品パッケージ変更による終売商品・納品期限切れ商品など、メーカーが意図せず処分される
予定の“イイモノ”を再び販売する仕組み

mySDG編集部:現場からメーカーの余剰在庫を消費者へつなぐアイデアが思い立ったそうですが、実際に事業として立ち上げるきっかけは何だったのでしょうか。

東さん:コロナ禍であったことが事業を立ち上げる時期として影響がありました。感染予防のため、巣ごもりを余儀なくされ、消費者は外へ買い物に出ることが減ってしまったため、メーカーさんの倉庫には商品が売れずに次々と余っていく状態でした。何とか早く着手できないかという焦りもあり、2021年5月に「買っトク!」を立ち上げました。

mySDG編集部:コロナ以前だと「余っている=人気がない」という印象が消費者にあったと思いますが、コロナ禍によって余剰在庫への考え方に変化が生じてきましたよね。2020年以降のメーカーさんの意識は、ロス削減を重要課題と捉えて「買っトク!」での販売を快諾していただけたのでしょうか。

東さん:いいえ、カテゴリーによって、まだまだブランド毀損を気にされるメーカーさんはいらっしゃいました。化粧品や日用品はCMなどのイメージがありますし、広告宣伝費をかけている商材に関しては、特に価格を落として販売することを気にされる傾向にあります。

しかし、一方で食品に関しては、フードロス削減の意識が高まり、前向きに取り組んでいかれる企業さんが多いように感じています。商談でも「今回から、会社を挙げて取り組むことになった」とお話いただくことがあり、今までフードロス削減には取り組んでいなかったメーカーさんでも取り組みを行うケースが増えていますね。

mySDG編集部:ブランド毀損を払拭するために、どんな対策や工夫をされたのでしょうか?

東さん:ECサイトの機能的なところでブランド毀損を防ぐ方法ですね。例えば、40%、50%オフの販売価格が不特定多数の方に見られてしまうことを好まないメーカーさんの場合、会員限定販売にして、非会員ユーザーの方には販売価格は非表示にします。
商品に興味がある場合は、会員になっていただくことで価格表示と購入が可能になります。こうした機能を入れることで、購買意欲の高い方を取り込んで、購入いただける確率を高くします。
会員制にすることで他ECサイトとの価格比較などを避け、ブランド毀損を防止していくというお話を企業側にすると納得していただけることが多いです。

mySDG編集部:有名なブランドさんなどが余剰在庫を販売する場合など、一定の会員のみに販売する仕組みであれば安心ですね。

東さん:はい。現行品が出ているとか、パッケージ変更しただけの商品などは、特に気にされるメーカーさんが多く、こうしたデリケートな事例の場合は、会員制の仕組みがあることが販売の後押しになりますね。


■一般のECを意識した、選ぶ楽しさと“必要な分だけ購入できる”工夫

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mySDG編集部:フードロスに関しては扱うECサイトも徐々に増えてきていますね。ただ、「買っトク!Ponta」には、化粧品や日用品も取り扱いがありますね。その理由としては競合との差別化をはかる目的なのでしょうか?

東さん:差別化というよりも、私たちは既存の事業でメーカーとのつながりを密接に持っていますので、化粧品の余剰在庫でお困りであれば、当然お手伝いさせていただきたいというところで取り扱いをしています。

mySDG編集部:すでにお取引先は多く存在している状態だったので、食品のみの扱いではないのですね。取り扱い品目に関してだけでも競合との違いはあると思いますが、さらに「買っトク!Ponta」の特徴はありますか?

東さん:「0円でおためし」ですね。私たちの中でも、キラーコンテンツとして捉えています。これは、お取引先のメーカーさんにご提供いただいた商品をユーザー様にサンプリングという形でお届けしております。
ユーザー様からは送料関係費をご負担いただいておりますが、商品自体は0円でお届けするという仕組みで、気軽に商品をためせる仕組みになっております。

もう一つ、他サイトと違うところは、小ロットから購入できるところです。大多数の余剰在庫を扱うECサイトは、ケース販売などの大量ロットでの販売がほとんどですが、私たちは一つから購入可能な商品を多く取り揃えており、おひとりでも様々な商品を組み合わせ、購入金額3,980円以上なら送料無料で購入できるようにしています。ここは、競合他社さんと比較すると、際立つ特徴だと捉えています。

mySDG編集部:まとめ買いもありますが、リップスティック一つから買えるので、一般のECサイトと印象が変わらないですよね。

東さん:そうですね。特別、余剰在庫だからというよりも、ふつうに買い物しているような感覚を大切にしています。ラインナップ数も増やすなどをして、選ぶ楽しさと、色んな商品が買えるという満足感が得られるように、これからも注力していくところですね。

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mySDG編集部:ちなみに、たくさんの商品を扱っていますが、賞味期限や消費期限の管理はどのようにしているのですか?

東さん:今、通常の期限に1ヶ月以上猶予があるものに関しては35%~40%オフくらいで販売をしてるんですが、1ヶ月切ってくるような商品は、期限切迫コーナーというものがありまして、そちらの方に商品を集めて掲載します。価格は最大85%オフまで下げて販売しています。

また、ご希望のある会員の方にメルマガも配信していまして、毎週金曜日など週1回は期限切迫のお知らせをメルマガで流しています。

mySDG編集部:すぐに消費するなら、お得な情報ですね。しかし、残念ながら期限が切れてしまった商品はどのような経路をたどるのでしょうか?

東さん:極力、ロスが出ないように努めていますが、どうしても出てしまったときには、期限間近の商品を専門に扱っている企業と連携していますので、実店舗で販売するという経路があります。私たちの手では処分に至っていないですね。


■EC事業と主軸事業の両輪でトータルサポートを目指す


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mySDG編集部:展望や目標をお聞かせください。

東さん:「買っトク!Ponta」を立ち上げてから、わずか3〜4ヶ月程ですが、私の個人的な思いとしては、来年には5億円の売上を作り、3年後には売上20億円の規模感まで拡大したいと思っています。

取り扱う商材も、お酒のようなライセンスが必要なものや、生鮮食品などの産直物なども加えて、ラインナップを拡大していきたいと考えています。

mySDG編集部:お惣菜などの中食と呼ばれる調理済みの食材を扱うのは難しいと聞いたことがあります。そうした中食のロスをラインナップに加えることは難しいでしょうか?

東さん:その構想は正直無かったのですが、ただ、当社の登録キャストが10万人程全国にいますので、そうしたインフラをミックスすることで、新しいビジネスが作れる可能性はあるかもしれません。
当社のラウンダーが運搬作業の一端を担ったり、注文が入ったらお惣菜を売る店舗に取りに行ったりなどですね。主軸事業のインフラをフル活用することで、解決が未だ難しい問題にも挑戦できる余地がありそうです。

mySDG編集部:EC事業と既存事業を近づけることで、新しいサービスが生まれそうですね。

東さん:そうですね。EC事業は当社ビジネスの一環ですので、ラウンダーさんを活用して良い売り場を作り、店頭売上の向上を図り、メーカーさんの商品が残らないようにすることが主な事業目標です。
別事業では普段捨てられてしまうようなレシートを買い取り、それをデータ化・蓄積することでメーカー様の需給予測や販促計画に活用いただくサービス(POB)も展開しており、様々な角度からメーカー様を支援しております。
そこまでしても、余ってしまうようなら「買っトク!Ponta」で販売させていただく。販売計画から余剰在庫対応までフルサポートできる体制を整えたい。
EC事業と主軸事業とを連携させながら、サービスの拡充を図っていきたいというのが私たちの考えているところですね。

「店頭フィールドラウンダー」業務にて店頭在庫確認をするキャスト

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