駐車場にいる親切そうな顔をしたアイツ(600文字)
雨の日
今日は朝から雨が降っていたので、いつもの駐車場は満車状態。
しょうがないので近隣の駐車場へ。
駐車料金
駐車場に戻ってきて番号を押すと、『300円』が表示された。
だいたい想像通りの金額。まぁ、しょうがない。
しかし、しまったな。今日は小銭入れを忘れてきた。
仕方がないので千円札を財布から出し、差し込もうとするが。
お札の投入口にはぶ厚いアクリル板が貼っている。
よく見るとアクリル板の上に一文が書いてあった。
親切そうなアイツ
『お困りのようですね。』
そいつは私に話しかけてきた。
『実はわたくし、このあたりで商売をしているモノでして』
商品をピカピカとこちらにアピールしてくる。
『小銭がお入用でしたら、どうでしょう?
なにかお一つ買って行かれませんか?』
そいつの売る商品はどれも絶妙な値段をしている。
私「これスーパー行ったら100円しないよね。」
しかし、こちらのニーズにつけ込むそいつは全く値下げをする気配はない。
『たぶんさっきのお店で両替してくれると思いますけど。
でも、ちょっと面倒ですよね。
その間にさらに100円かかるかも知れませんし・・・』
暗にココで買っても一緒と言いたいのだろう。
あきらめる
私は、130円のカフェオレを選んだ。
『お買い上げありがとうございます』
商品を差し出さないそいつの前にしゃがみ、私はスチール缶を受け取った。
私「あっつー!」
私の不満の声はもう届いていない。