九天九地7:虚空に描く、富の山
期待外れの鉄鉱脈
宝の山かと期待した鉄石の鉱脈だったが、思わぬ伏兵が隠れていたようだ。
更に悪いことに、南部藩は、借財の返済ぶんとして、開発資金を出資する、という約束を守らず、嘉兵衛親子は、坑夫達の賃金の支払いにさえ、事欠く始末だった。
清三郎は、老齢の身で山奥の鉱山で苦労する、嘉兵衛の姿を見るにつけ、胸が痛んだ。
何とかしてこの苦境を脱して、父に平穏な余生を送らせたいと、祈るような気持ちで、一心に働いた。その気迫が通じたのか、荒くれ者の坑夫たちも、清三郎の指示にはよく従