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【日記】雨天決行

5月12日金曜日。

睡眠時間約7時間。
朝の目覚めは良好。
昨晩から現時点にかけて食欲は◎。


昨日の記録に「信頼できる病院を見つけることが課題」と書いたが
昨晩、目星をつけていた心療内科の初診を予約することが出来た。

googleでのレビューは星4.3。
自宅から徒歩圏内にあり、予約システムもしっかりしている。
「薬を無理に勧めてこない」「話をしっかり聞いてくれる」「転院してきてよかった」などのレビューが多数。
こう言ったら不謹慎かもしれないが、2週間後通うのが楽しみだ。


5月13日土曜日。

今日は友人と天王洲アイルへ「ウェス・アンダーソンすぎる風景展」を見に言った。
パニック障害が悪化してから行列や人の多い密室を避けていた僕だが
予期不安を抱えつつも、生きたい気持ちが勝った。

友人を拾い、車で現地へ向かう。
入場口へ向かうと、なんと50分待ち。
しかも50分間、列から離れられないという。
そしてらその行列を抜けた後もエレベーターが待ち構えていた。

事情を知ってくれている友人は
「夕方人が空いた頃、もう一回来てみようよ。」
その提案に甘え、近くのカフェで時間を潰すことに。

立ち寄ったカフェにもアート作品がいくつか展示されており
久しぶりに芸術に触れた僕は、また絵が描きたくなった。

しばらくして、展示会場に戻ると待ち時間は20分になっていた。
列の中で発作を起こす怖さよりも、「挑戦したい」「この展示が見たい」
という気持ちがわずかに勝ったため意を決して並ぶ。

結果、予期不安(通称「かまちょ」)をうまく手なずけながら
展示を楽しむことが出来た。

しかも今回見に行った展示は「旅」というものがテーマとなっており
鬱病及びパニック障害を発症して以来、全く旅行ができない(というより行く気になれない)状態にいた僕は、その展示を見たことで

どこか遠くへ行きたい

久しぶりに心からそう思えた。

避けていた場所に一歩踏み出した自分を褒めたいし
誘ってくれた友人、そして旅をしたいと思わせてくれた
ウェス・アンダーソン氏には感謝の気持ちで一杯だ。


5月14日日曜日。

朝の寝起きはかなり調子が悪い。
調子が悪い時特有の方から肩甲骨にかけての緊張感。

「小雨か。降るならもっと降ってくれればよかったのに。」

というのも、今日は僕が所属しているテニスサークルの対抗戦の日。
サークルの一員として出るのは初めてだ。

正直、数日前からこの日が不安で不安で仕方なかった。
雨で中止になってほしい自分と、外界へとまた一歩踏み出したい自分とが
せめぎ合っていた。



先週、一部の近しい間柄(だと僕は思っている)人物には病気のことを打ち明けたが
それでも試合中に発作なんかが起きてしまったらどうしよう。
なんとか試合を休ませようと「かまちょ」がずっと僕の横で駄々をこねていた。

試合に出たい。出れば勝てる自信がある。
(そしてあわよくばいいプレイをしてチヤホヤされたい。)

僕は自分の心の声に耳を傾け
「かまちょの時間」ではなく「俺の時間」を
過ごすことを選んだ。


重たい体を起こし、身支度をする。
お気に入りのNIKEを羽織り、グリップを巻きなおす。
良くも悪くも、気が引き締まるのを感じる。

不安に負けずに現地に向かおうとしただけでも上出来じゃないか
試合に出れるかはさておき、できるとこまでやってみよう

そう自分に言い聞かせ、車を走らせる。


混み合う国道16号。浅くなる呼吸。


会場に着くと、見える人だかり。
もうすでに他のメンバーがそろっている。
僕の緊張はピークに達した。

ここまで来たらもう知らん。吐くなりぶっ倒れるなり
どうにでもなっちまえよ。

抗不安薬を飲み込み、車を降りる。

「いとそちゃん!来てくれてありがとう!」

不思議とその一声で、薬を飲んだ甲斐もあってか
張りつめた心が少しずつ解れていった。


本来4戦するはずが、雨天のため3試合目を終えたところで中止。

実をいうと、3戦目が終わった後にカロリーメイトを食した事で
若干気持ち悪くなり、再び「かまちょ」が顔を出し始めていたため
僕にとっては好都合だった。


結果は、2勝1敗。
1戦は負けてしまったが、(チヤホヤこそされなかったものの)最高の試合が出来たと僕は思っている。


今日もできた。外界への一歩を踏み出す事が。
「俺の時間」を過ごすことが。

よくやったよ、俺。よくやった。



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