2分で読める子育てエッセイ№934『今から食べようというのに』
ある日、小4の息子・イチが暇を持て余してワタクシにこんな勝負を挑んできた。
「お母さん、英語禁止の会話しようよ」
こんなことを言うとふだんは英語を使っているの? なんて言われるかもしれないけれど、わが家の公用語はもちろん、日本語。その日本語さえも怪しいレベル。
でも実際は「スタート」「ストップ」「タイム!」など、日本語には多くのカタカナ英語が入り込んでいるので、少し喋れば何かしらを口にしている。
「お母さん、今から英語禁止ね。よーいスタート!」
はい、イチの負け。秒でゲームが終了しては面白くないので、ワタクシこう提案した。
「10個先に言った方が負けにしようよ」
仕切り直して、勝負を再開した。
すると先に仕掛けてきたのは息子。
「お母さん、風呂上がりで暑いからアイ・・・いや冷たいものを何か食べようよ」
惜しい! アイスと言いかけたよね。
いくら太ると分かっていてもやめられない、お風呂上がりのアイス。ちょうどワタクシも1本食べようと思っていたところ。
「あ~牛乳と砂糖の凍らせたお菓子ね、いいね~。イチはなに味にする?」
こんどはワタクシが息子に仕掛けると、息子は言葉を探り探りこう言った。
「ほらチョコ・・・今のなし、ちょこっと黒いツブツブが入った、ミン・・・いや・・・えっと~えっと~」
どうやら息子が言いたいのは「チョコミントアイス」らしい。
薄荷と言うか、す~っとするヤツと言うかと息子の言葉を待っていたら、めっちゃいい顔してこう言った。
「今使っている歯磨き粉味の氷菓子にする!」
ひょーっ! メッチャマズそう。
ミントの表現を歯磨き粉だという人よくいるけど、今から食べようというのにわざわざそれを言う?
息子の言葉に、リアルに歯磨きを想像してしまい、寝る前のアイスを控える気になったワタクシ。
「お母さん、やっぱりチョコミントアイスパス」
ボソッとつぶやくと、それを聞き逃さなかった息子。
「あ! お母さん『チョコ・ミント・アイス・パス』って4つ言った~!」
うそ~ん。
ウッカリ気を抜いてしまい、一気に4アウトをくらった。
そしてまた「アウト」って・・・。
とほほ。