№156【2分で読める】日々の暮らしにクスっとエッセイ『自動掃除機がやってきた。ウロウロ~、ウロウロ~』
ある日、わが家に「自動掃除機」がやってきた。ただし無料レンタル。
きっかけは某有名モップレンタル店が、自動掃除機もレンタルしていると知ったから。
すでにモップをレンタルしているので、わが家を担当してくれるお姉さんが月1でモップを交換に来てくれる。
そのお姉さんが、メッチャ気持ちをのせてこう言った。
「一度これを使ったらもう最後。便利すぎて私やめられないんです」
ほう。
「それにこの子、とてもカワイイんですよ~」
謎の言葉を残して帰った。
「カワイイ?」
どういう意味だろう。
※
自動掃除機を充電した後、家族が見守る中、初運転。
丸みのある三角形、のど飴を思わせる形の「自動掃除機」は、静かに動き始めた。前方2か所についている猫のひげっぽいブラシがクルクルまわり、なんだか不安げにウロウロ~、ウロウロ~。あるときは壁や棚、椅子の足にぶつかりそうになりながら、あるときは予想外の方向にクルリ。見ているこっちがハラハラする。
「そこは、入れないでしょ! いや、そっちは行き止まりだって! あ~あ、挟まっちゃった」
それはまるで2歳児。ヨチヨチと足取りヤバそうに歩き回っている様子に激似。
異変を感じたのか、わが家の小鳥、キンカチョウ達も新しい掃除の仕方を高見の見物。ツンの無表情で見守っていた。
でもそのうち、見ているワタクシにも心の変化がおこった。それは、正面から見たとき。
「あ! 目と口がある!」
あどけない表情がまた一段と2歳児っポイ。
「名前どうしようかな」
そうつぶやいたとき、ワタクシ、ハッとした。
「そういえばこれを持ってきてくれたお姉さんも似たようなこと言っていたな」
思わず名前をつけたくなるほどの親近感。お姉さんが「カワイイ」と言っていた謎がとけた。
※
キョロキョロと落ち着きない様子だし、時間はかかるけれど、愛想を振りまきながら文句も言わずに部屋をキレイにしてくれる掃除の達人。2年、または3年契約すれば、わが家の子になるというので損はないかな。でももう少し様子をみようかな。こうしてまたひとつ、ズボラ主婦のレベルを上げる道具を手に入れた。
ただ、うちの親戚にライバル会社の社員がいるので、こっそり、極秘で。
ニヤリ。